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桜並木の下で
2-5


「ぁ……アル。落ち着いて下さい」




 廊下に崩れ落ちた兄貴を宥めようとオーギュストが近付くが、兄貴はオーギュストを睨んでいた。




「私は、落ち着いてる」




 すると兄貴は、がばっと立ち上がりそのままユーリの前へツカツカと歩いてきた。

 そして、反応の遅れたユーリの肩を掴んで。




「……ユーリ。誰かと付き合っているというのは本当か…?」

「…ぇ?……ぁ…はい……」




 微かに怯みながらもユーリが答えると、兄貴は一瞬息を詰まらせた。


 その直後、ユーリを勢いよく抱き締めた。




「……っ。誰だ…!私のユーリを辱める奴は!」

「ぇ、兄様…。もうそういう話になるの?」




 アリアが苦笑しながら言うが、兄貴は全く聴いていないようだった。



 あー……こうなったら止まんねぇんだよなぁ……兄貴って。

 ユーリのこととなるとこうで、そんな兄貴を見るとオレはなんだか冷静になっちまうんだ…。





「誰だっ?そのスマイルとか言う奴は!今すぐ私の前に連れてこい!」

「兄様……それは難しいかと…」




 未だ抱き締められたままのユーリは苦笑を浮かべて兄貴を宥めようとしているが、
 やっぱり効果はないようだ。




 頼むから………誰か兄貴を落ち着かせてくれよ…。

 オレ……腹減ったって…。




 オレは助けを求めるように、こんな時に最も頼りになる兄貴の執事………もとい、兄貴の恋人であるオーギュストを見詰めた。


 しかし、彼は何かを考えるように顎に手を添えていた。



 オーギュスト…?と名前を呟こうとした時。





「………スマイルって………オレと同じ隻眼……か?」





 その問いにユーリが兄貴の腕の中で不思議そうな顔をしながら頷いた。

 けれど、すぐに何かに気付き…。




「……そういえば、オーギュストと似ているような…………」




 その台詞で、その場にいたオレたちは一斉にオーギュストを見た。


 見られた彼は一瞬たじろぎ、だけどすぐに苦笑を浮かべ。





「すいません。
 そいつ……オレの息子です」





 妻に先立たれた後、あいつは1人で生活をし出し……最近は連絡が取れなかったんですが、

 まさかここに来てたとは…。



 彼が穏やかに、だけど苦笑を浮かべ話している最中、オレたちはずっと固まってしまっていた。




 あぁ………だから、誰かに似てるとか思ったんだ…。



 ……つか、





「つか、オーギュストに子供がいたなんてオレ初耳だし!」

「ぁ、あたしも!」

「まぁ…お前たちには言っていなかったしな」

「バツイチだったのか、お前…」

「そういうことになるな」





 ぅわ………世の中、わからないことだらけだ……!

 だって、…………………ぇえ?!!



 オレたちが半ば興奮気味でオーギュストに気を取られていると、





「……すと………」





 ユーリがびくりと肩を揺らした。


 その彼の視線の先には、彼をまだ抱き締めたまま肩を震わせている兄貴がいて……。





「オーギュスト……貴様ぁ!!!!」

「ぅわぁ!!」



 ゴンッ




 兄貴はガバッとオーギュストを押し倒し、そのまま馬乗りになった。

 そして彼の胸倉を掴んで激しく揺さぶっていた。



 てか、……オーギュストの奴、頭打たなかったか…?




「ぁ……兄貴…」

「兄様……オーギュストの顔色ヤバイって…」

「兄様!そのくらいにしないとオーギュストが死んじゃいますよ?!」

「オーギュストのアホがーーー!!!」










『………なんか、あったのか?』

「んー………ご飯が…食べられない…」

『は?』




 廊下に顔だけを覗かせエントランスの方を見れば、未だなんだか騒がしくて。


 私は黒い長めの前髪を払い、ダイニングへと引き返した。




「兄様が……ご乱心」




 そう呟き、椅子に腰を下ろせば、端末の向こうでザインが「あぁ…」と漏らしていた。




『スマがオーギュストのガキだって知ってか』

「まぁね…。これで、別れなきゃいいけど……」

『ははっ。そりゃねぇんじゃね?』




 考えすぎだろって笑うけど……、だって兄様はまだ怒ってるっぽいよ…。

 まぁ、確かにあの2人が別れるなんて想像が付かないんだけどね。




 とにかくさ………早くご飯にしようよ。

 お腹減ったってば…。




 私が溜息を漏らせば、携帯から彼が喉の奥で笑うのが聞こえた。


 人事だからって……。




「じゃあ……明日は、泊まりに行くから…よろしく」

『あぁ。それじゃ、また明日なルリ』

「うん……またね…」




 早くメシ食えるといいな。


 そう言って電話を切った彼に文句を言おうとしたけれど、耳に残ったのは「ツーツー」という電子音だけ。



 少しだけ眉を顰かめ、でも次には笑みを漏らした。





「お前なんて大嫌いだーー!」




 だけれど、兄様の声が聞こえて、私は一瞬椅子から落ちそうになり、

 そして肩を竦めた。




 もう…………勝手に食べるよ?












長くなりました……(´∀`;)


赤ユリと黒スマを出したせいですね。
ただでさえ進みが遅いのに、キャラを出したがって出して、

話が進まないっていう………………………ネorz



しかも、赤ユリ暴走★←

つか、黒スマの奥さんをどうしたらいいのかわからず、
結局ヒドイことした…((凹。


だって、そうでもしないと浮気になる………orz



あ!離婚したことにしたらよかったのか…!

……や。でも、黒スマは離婚しなそう………。



つか、黒ユリと紫スマは………………(2人の話を書く時ので)目的があって載せたんだけど、意味なくなりそう←




09,03,03




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あきゅろす。
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