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桜並木の下で
2-2


……………全くもって授業の内容が頭に入りませんでした。



 や。理解ができないわけじゃなくて、違うことで頭がいっぱいでした。


 その違うことっていうのが………………。





「どうした?スマイル。ずっと上の空だったみたいだが…」





 すると、ぼくの斜め前の席に座っているユーリがこちらを振り向いた。




「エー…………うーん……マァネ」

「…?」




 言い辛くて濁せば、彼は可愛く眼を瞬かせて小首を傾げた。


 ホントに可愛いなぁ。


 でも、問題なのはそんな彼の双子の弟のことだから、ぼくはうまく言い出すことができず、結局ユーリから目を逸らしてしまった。




「どうせ変態なことでも考えていたんだろ」




 ゲシッと、誰かに足を蹴られた。



 ………や、声でわかりますがね。

 あと、蹴りで。




「なんだヨ、魔女。なんで蹴るんだヨ」

「ユーリ。こんな変態とはとっとと別れろ」

「シカトかい」




 灰色の髪を高い位置で2つに結わえた魔女の血縁らしい彼女……ロキはぼくをシカトしてユーリへ近付いた。

 ユーリはそんな彼女に苦笑を浮かべている。



 なんか知らないけど、ユーリと付き合い初めてまだ2日目だというのに、何故かロキはぼくにやたらと突っ掛かってくるんだよねぇ。

 なんですか?


 ………いや、なんとなく理由はわかるけどね?





「……………嫉妬で八つ当たりかよ」

「何か?」

「イーエーなんでもー」





 わざと肩を竦めて席を立てば、彼女は鼻を鳴らしてそっぽを向いた。



 可愛いげがないねぇ……。



 微かに溜息を吐きながら、ぼくは頭がうまく廻らないのが嫌でそのまま外の空気を吸いに廊下へ出ようとした。


 けれど、ユーリがそっとぼくの服を掴んだ。




「…大丈夫か?」




 心配そうに眉を寄せるユーリ。

 ぼくはそんなユーリに笑顔を向ける。




「大丈夫だヨ。コーヒー買ってくるだけだカラ」




 そう言ってやるけれど、ユーリはやっぱりぼくのことが心配なのか、掴んだ服を放そうとはしなかった。



 もう……ほんと可愛いなぁ。





「………よし、スマ」

「はいはい?」

「今日は少し、一緒に何処かへ行こうか!」

「ぇ、マジで?!行く行く!!」





 可愛く笑ったユーリにつられてぼくは即座にオーケーしてしまった。



 だけど待って?

 確か、今朝もらった果たし状には………。



 ポケットにしまっていた手紙を取り出し、ユーリからは見えないようにそれを覗くと、




『今日の放課後に体育館裏で待つ』




 と、お決まりな文句が書かれていた。




「………ん?スマ………行かないのか?」




 少し困ったように小首を傾げた彼を見て、ぼくは「用事がある」なんて言えるはずもなく。




「是非とも行かせて下サイw」




 周りで「デートすんのか?ずりぃ!」って騒ぐ人と、ユーリの隣で明らかに不満そうな顔の魔女を見ながら、

 ぼくは、ユーリが最優先でしょ。と、自分に言い聞かせていた……。



 ごめんね、弟クン。












やっとロキ出せた………!.++

一緒にアッシュも出す気だったんですが、気付いたら出てこなかった((笑笑!←





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