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桜並木の下で
2-1


「ユーリってばホント可愛いったりゃありゃしないよネ〜」




 ぼくがソファーに座り、足をばたばたと揺らしながら話せば、書類に目を通していたMZDはくくっと喉の奥で笑った。




「だってサー、真っ赤な顔してタイマー追っかけてたんだヨ〜?」




 可愛くないっ?


 満面の笑みで言えば、彼は呆れながらも楽しそうに笑っていた。


 だけど、彼は突然可笑しなことを言ってきた。




「お前ってほんとKYなー」

「エー?なに突然ー!ヒドくナイっ?」




 不満を露に、ソファーの背凭れにボスッと寄り掛かる。

 だって、MZDにKYだなんて言われるようなことした覚えないし。


 何がKYだって言うの?と問えば、彼は声を出して笑った。




「転入初日に教室で会ったばっかのヤローにソッコー告るなんて、KY以外の何者でもねっつの」




 彼の後ろの影まで何度も頷いている。


 ヒドイな…。




「ぼくほど空気が読めちゃう奴はいないデショ〜」




 ぼくが不服そうに言えば、彼は呆れたように「どこがだっつの」と笑った。


 ホント、失礼だなぁ。




「あ、でもSKYかもネ」




 ニヤリと笑うと、MZDは「は?」と顔を顰た。

 後ろの影も訝しそうに小首を傾げている。


 そんな2人を見て、ぼくはもう一度笑った。




「スマイルくん(S)、かなり(K)、ユーリラブ(Y)、だからw」




 ちなみにKYは、可愛い(K)、ユーリ(Y)カナ。なんて言えば、MZDは一瞬惚け、
 そしてすぐに爆笑した。



 笑ったね?

 後で痛い目を見ても知らないから★





「まぁ、ほんと………ユーリと仲良くなったみてぇでよかったよ」

「お蔭サマで♪ あ、じゃあ授業が始まるカラぼくはコレで」




 遅れるとユーリが怒るんだよねぇ。


 そうカラカラと笑いながら扉を押し開く。

 すると、MZDは待てとぼくを引き留めた。




「ナニ?」

「お前宛てに手紙預かってんだよ」

「もしかしてラブレター?嬉しいんだケド、ぼく、もうユーリがいるカラなぁ〜」

「その、ユーリの双子の弟からだ」



「………………弟いたノッ?!!」




 え?マジで?


 双子ってことは顔がそっくりってこと?

 それ絶対可愛いよ!!


 えー。そんな子がいったいなんでぼくに手紙?


 もしかして、兄を宜しくお願いします。……みたいな?



 や!言われなくても宜しくされちゃいますよ!!



 なんて、1人で勝手にウキウキしたまま彼から受け取った手紙の封筒には大きく文字が書かれていて…。





「…………果たし状……?」





 …………は?




 意味がわからず、間抜けな顔でMZDを見れば、彼は転入初日の時よりも厭らしく笑っていて……。





「どうやら、弟も仲良くできるみたいでよかったじゃねぇか」






 ぼくは、これから起こるであろう面倒な日々を、嫌でも直感した…。












金ユリが漸く絡んできます☆★
ホント、やっとだよ…!



因みに、SKYとKYのネタはずっと前からやりたかったネタ←





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