桜並木の下で
1-15
「号外号外ー!やっぱりユーリが転校生のスマイルと付き合うってー!」
「配るなバカうさぎ!!」
「ユーリちゃんダメだヨー。ソレやられてる方は余計に楽しくなっちゃうカラ〜」
「ならば貴様がとっとと止めに行けボケぇ!!」
「イタッ!蹴らないで痛いカラッ!」
タイマーを先頭に、ユーリ、スマイルがその後に続き、休み時間に入ったばかりの、人で賑わう校庭を駆けていく。
タイマーは作ったばかりの記事をばらまきながら。
ユーリはそれを止めようとタイマーを追い、
スマイルはそんな2人を楽しそうに追い掛けながら。
「……だから、嫌だって………言ったんだ…」
「あ?なんだって?ルリ」
黒髪を風に揺られながら窓から外を眺めていたルリは、机を挟んだ隣で本を読んでいたザインの方を向いた。
けれど、本を読んでいた藤色の髪の彼が訝しそうな顔をしていた為、顎で窓の外を示した。
「……あれ」
ザインはルリから視線をずらし、窓の外を見遣る。
「…………あ?あいつ……ここに転校してきてたのか」
「…なに……知り合い?」
明らかに嫌そうな顔をしたルリに構わず、ザインは続けた。
「あー。あいつ、オレの従兄弟」
げしッ。
「ってーな!オレ、なんもしてねぇだろがっ!」
「………だから、おんなじ顔…なんだ……」
「いてッ!脛蹴るなっつの!」
「よぉ、ちび」
「ちびじゃねぇ」
赤髪の男……コウが屋上のフェンスに載った小柄の金髪の男子……シオンに声をかけるが、相手は振り向かなかった。
代わりに、下……校庭の方を見詰めていて。
それを見てコウはフェンスに寄り掛かりながら、相手には気付かれないように笑った。
「ほらみろ。ウソじゃなかったろ?」
校庭の方からは、頻りに聞こえる声。
号外ーと楽しそうな声と、止めろと叫ぶ声。そして、実に面白げに笑っている声。
「ユーリの奴、保健室でオッケーしたらしいぜ?しかも、キスまでしようとしてたんだと」
大好きな兄ちゃん、取られちまったな?
そう言ってカラカラと笑ったコウ目掛けて、シオンは履いていたシューズを飛ばした。
だが、それは簡単に避けられてしまった。
ガシャンッと、苛立たしげにシオンはフェンスを踵で蹴り付ける。
「………あのヤロ……ぜってーただじゃおかねぇ…!」
苦虫を潰したような顔で呟き、彼が蒼い双眸で睨んだ先には、
遠くに行ってしまったタイマーへ向かって叫ぶユーリに戯れついている、碧い髪のスマイルがいた。
To be continued...
次からの話は、金ユリ登場です!
金ユリがスマユリ(主にスマ)に突っ掛かってきます((笑笑!
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