桜並木の下で 1-6 「ねぇ。ほんとに………付き合っては、いないの…?」 「ほんとは付き合い始めたんでしょう?」 依然続く、同じ問い。 何度この問いを聞いただろうか。 「だから、何度も言っているように、相手が勝手に言ってきただけで、私はそれに応える気など毛頭ないよ」 そう言っても、未だ人の話を信じていなそうに顔を顰めさせるルリとアリア。 何度も言っているのに全く納得してはくれない。 「第一!」 少し声を荒げると、2人は少しだけキョトンとした。 「私に付き合えなどとほざいてきた奴は男だ!」 「…………だから?」 「だから……て、……え?」 なんだその不思議そうな顔は。 どうして2人とも小首を傾げるんだ。 明らかに可笑しいだろ。 2人のその反応に私が首を傾げたいよ…。 「いや、だから……私に告白してきた輩はれっきとした男で…」 男が男に、だぞ? 明らかに可笑しいだろう? というか、何故に男同士で付き合わなければならないんだ? いや、万が一に奴が本当は女だったとしても、遠慮する。 そちらの方が生理的に無理だ。(だって、明らかに男の体つき……) なんて、必死になって訴えれば、アリアが眉を寄せた。 「……ユーリ、それ…………アル兄様たちを否定してるわよ?」 「……………!」 はっとして隣のルリを振り返ると、彼も少し困ったような顔で頷いて、そっと顔を逸らした。 「ちっ、違う!わわ私は兄様たちのことを断じて否定なんかしていないぞ!」 前に出した両手を左右にぶんぶん振りながら必死に否定するが、2人は目を逸らしてしまう。 本当に違うのに!そんなに気なんてなかったのに…! 終いには、人の話をあまりにも聞いてはくれない2人に涙が出そうになってしまった。 「……ん。わかってるから…大丈夫だよ?ユーリ…」 ぽんと、ルリに頭を撫でられ、安堵の溜息が漏れる。 しかも、情けないことに、余計に涙が出そうになった。 そんな中、ちらりと見たアリアは顔を逸らし笑っていて、そこで漸くからかわれていたんだと気付いた。 …………人で遊ぶな。 「とっ…とにかく!私はそいつと付き合う気なんて毛頭ないからな!」 「これからも?」 「これからもだ!」 まだ楽しそうにくすくす笑っているアリアと、「ユーリ?」と少し戸惑いながら名を呼ぶルリに背を向け、荷物を持ってリビングから出ていく。 その際に、勢いよく閉めたドアが思いの外大きな音を発てた為、自分でも少し驚いてしまったのは、 内緒だ。 遊ばれるユーリが可愛くて好きです((笑。 あと、自分でしたことにちょっと実はビビっちゃってるとことか…((笑。 [*前へ][次へ#] |