[携帯モード] [URL送信]

桜並木の下で
1-4


「ただいま」




 そう呟いて玄関の扉を潜れば、真っ先に出迎えてくれたのは、シャトルーズグリーンの髪を揺らすアリアだった。

 黒に近い紺色のセーラーに白いセーターを着ている姿が愛らしく見える。




「おかえり、ユーリ。学校はどうだった?」




 くすくす笑いながら、リビングへ向かっている私の後ろを彼女は楽しそうについてくる。




「特に、変わったことはなかったよ」




 後ろから抱き着いてくるアリアをそのままに、リビングの扉を開ける。
 けれど、勘の良い彼女は、ふぅん?と相槌を打った。




「その割には、なんだか苛々してない?」

「そ、……そんなことは…」




 ない。と否定しようとしたが、アメジスト色の瞳と目が合い、言葉に詰まってしまう。


 本当に、彼女は聡い。


 はぁ。と溜息を吐けば、アリアはくすりと笑って離れた。




「アリアこそ、どうだったのだ?」

「あたし?あたしの方は―…」




 荷物をソファーに下ろしながら彼女を見遣れば、少しだけ彼女は嬉しそうに、けれどそれを隠すようにわざとらしく溜息を吐いた。




「まーた、ヘキと同じ委員会だったのよー」




 適当に選んだのに。腐れ縁てほんとしつこいわよねー。
 なんて、口を尖らせソファーに座る顔は、内心やはり嬉しそうで、つい笑みが零れてしまう。



 ヘキは確か、アッシュの兄(三男)で、青い髪の彼だったよな…。





「あ。で?今日はほんとにどうだったのよ?」

「…………ぅ」





 話を逸らしたのに、結局は戻ってきてしまった。

 そう簡単には、逃してもらえないらしい。



 もう一度アメジストの双眸に捕らえられてしまい、私は観念したように溜息を漏らした。




「今日、転校生が1人来たのだよ」

「へぇ、いいじゃない!」




 で?その転校生って男?女?カッコイイ?可愛い?

 なんて、次から次へと問い掛けてくる彼女から視線をずらす。


 そして、思い描いたのは、あの笑顔。





「格好いい……とは、思う……」




 真っ青だけど。



 そう付け足せば、彼女は訳がわからないと、小首を傾げていた。




(嘘は吐いてないよ)












初めて会話だけのじゃない小説でアリアが出せました★
セーラー着てるけど((笑笑!




[*前へ][次へ#]

10/38ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!