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俺の予想通り、帰って来た早々里長から呼び出され、つい最近アカデミーから卒業した、九尾を腹に封印している、うずまきナルトの上忍師として、命じられた。

「・・・ヤッパリねぇ・・・」
しかも、同じ班の中にはあのうちはの生き残りの子供までいた。
もう一人の少女はまだ良い、でもこの二人一緒というのが、あからさまに自分指名で組まれた様にも見える。

・・・あの糞狸め・・・。
ナルトの家に行き、三代目が真剣な顔でナルト達の事を話していたが、絶対に心の中ではほくそ笑んでいたのだろう。小さく舌打ちをした後、ふとさっきの三代目との会話の中で少し引っ掛かった事を思い出した。


「・・・て、いう事はナルトは今まで一人で?」

「・・・一人?・・・うーむ・・・一人という訳ではないと思うがのぉ」

「・・・は?どういう・・・?」

「・・・まぁ、いずれわかるじゃろ」
曖昧に話を反らした三代目にこれ以上聞く事も出来ず、その話はそこで終わってしまった。
そんなに詳しく知りたいと思ってはいないが、恩師の忘れ形見の子供の世話をしていたのが、三代目だけではなかったという事が少なからず驚いた。

・・・ふーん、狐付きと知って世話してる奴がいるのか・・・。

ナルトではなく、九尾の事を知っているにもかかわらず、側にいるという人間に少し興味がわいたが、そう思ったのは少しの間だけで、その後はすぐに忘れてしまった。


子供達との初対面で自分の小さい頃にはけしてしなかった幼稚なイタズラの黒板消しの洗礼を受け、少なからず呆れたものの、鈴取りでは、今までの子供達にはない仲間意識を見つけ、上に言われた事をそのまま通すのではなく、自分たちの意見の主張も忘れない強い意識を持っていた事に感心もした。

・・・今年は、何だろうねぇ・・・

同じくこの年に下忍担当になる仲間の忍達が教える子供達の事を聞いてみても、各々まだ未熟なものの、強い意志があるらしい。




「・・・何なの?今年は有望なのが集まってんの?」
その日の夜、同じく下忍担当になった、腐れ縁とでも言うのか、昔から唯一本音を言える数少ない飲み仲間のアスマと紅の三人で居酒屋にいた。口布を下ろしても良いように個室にしたが、酒は豊富だが建物の造りが古いここは、個室にしようが、結局は隣部屋の話もただ漏れなのだった。

「ん〜?そういう訳じゃあないんじゃないのぉ?」
既にかなりの量を飲んでいる紅は、顔には出さないが呂律が少し回らなくなってきている。

「・・・何で?」

「・・・ん〜・・・何て言うかぁ・・・子供達の素質っていうのもあると思うんだけどねぇ」
酔いもあるのか、的を得ない話に隣にいるアスマに助けろと視線を向ける。

「・・・むー・・・、まぁ・・・多分、イルカだろ?」


・・・・・イルカ?

この名前はこれでで二回目だ。自己紹介でナルトが言っていた名前。

「・・・誰?イルカって?」

「アカデミーの教師だよ。中忍、海野イルカ」

・・・中忍・・・?
てっきり名前が出てくる程だから、特別上忍か上忍だと思ったのに。

「その中忍が、何か凄いの?」
「「いいや。何も」」

二人揃った即答に、そんなキャラではないのに、ガクッと肩を落とした。

「・・・何か、イルカに特殊なものってあったかしら?」
「いいや、ねぇだろ?・・・多分」

「・・・なのに、その中忍が関係あるの?」

話が見えないし、そのイルカという人物像が想像出来ない。
アカデミーの教師で中忍、何か凄い技を持っている訳ではないし、二人の話では最近は外に出ていなく、内勤ばかりだという。内勤だって仕事は色々あるのだから、忍のくせに外の任務をしないなんてとは思わないが、はたしてそんな平凡な忍が子供達に影響を与えたというのだろうか?

「そうねぇ・・・まぁ、でも本人は気が付いてないとは思うけど」
「俺は好きだけどな、なんつうか、かわいい奴でよ」
「ちょっと、私も気に入ってんのよ!近づかないでよっ。アンタの毒気を浴びたらどうするの!」
「何だよ毒気って・・・」



「・・・女?、男?」
「「男っ」」
言い合いの途中で聞いたものだから、その勢いで返された。そして、また言い合いを始める。端から見れば、ただの痴話喧嘩にしか見えない光景に嫌気がさし、左上にある小さな窓を見た。


「・・・海野イルカねぇ・・・」

三代目が言っていた人間とは多分彼の事だろう。
ナルトから慕われ、同僚からも好かれているというその人物に長年他人に興味がなかった自分が久しぶりに調べてみようかと密かに思った。







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