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luna
鳴りはじめる警鐘
 アラウディがアメティスタの瞳を見つめて告げる。

「僕たちチェデフは君の意志に従うよ。好きに決めて構わない」
「……わかった」

 彼女は一度瞳を閉じた。何かを飲み下すように強く強く。そして開いたときには、鏡のように澄み切った目がこちらの意志を反射し、輝いていた。

「――チェデフは、ボンゴレプリーモに加勢します。今回の抗争、参加いたしましょう」

 言い切った彼女に迷いの色は見られない。前線で戦うことも、ひとの命を奪うことも、それがどういうことか理解した上で覚悟している。
 それに安心すると共に痛ましく思った。彼女はオレのためなら何でもするだろう。言葉どおり、何でも。自分の体や命を売ることさえ厭わない。

 決して、繋いだ手を放さずにいよう。彼女のすべてをこれ以上損なわせるものか。

「よろしく頼む、オレの月」
「私のすべてをあなたに捧げると誓いましょう。粉骨砕身いたします」

 アメティスタがオレに跪き、手の甲にキスを落とす。

「ルナが決めたなら、僕も君に味方しよう」
「オレもだ! まあ、最初から駆け付ける気ではいたがな!」
「二人も……ありがとう」

 戦いはあまり好きではない。降り掛かる火の粉は払うけれど、こちらから積極的に攻めたりはしなかった。
 今回の抗争も出来れば平穏に済ませたかったが、まわりは異端のマフィアであるオレたちに強い反感を抱いていて、交渉は受け入れられることなく決裂した。

「済まない。これに生き残れたなら……きっと、もう大丈夫だろうから、あと少し力を貸してくれ」

 三人は何も言うことなく、ただ笑ってオレに頷いてくれた。

 平穏が終わる。
 運命が動きだす。
 くるくると。狂々と。



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