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luna
太陽と月が浮かぶ空
「ただいま帰ったぞ! ルナ、今日は野菜が安売りでな、究極に新鮮なものをもらってきたんだ。台所に置いておいたから使ってくれ。夕食を用意してもらえるか?」
「おかえりなさいナックル。今用意するから、座っていて」
「うむ!」

 騒がしく帰ってきたナックルがオレの隣に座る。彼女とはまるで兄妹のようだ。オレも彼の明るさに救われたことは多々あるし、彼女もそうだろう。

「ジョット、今日は……プリーモとしての用事か?」
「ああ。…………あまり楽しい話にはならないから、まずは食事をしてくれ」
「わかった。ルナには聞かせるのか?」
「そうしようと思う」
「そうか!」

 ナックルはからりと太陽のように笑って、それからぽつりと、あいつは仲間外れにされたら泣くだろうからな、と呟いた。

「そうならないように、オレは話すよ。隣にいてもらう」
「大事な家族だからな、オレたちも守るぞ! そうだろう? アラウディ」

 アラウディが薄く笑って頷く。アメティスタは妹か娘のように可愛がられているから、きっと皆喜んで迎え入れるだろう。医療技術も高いし、後方支援も頼みやすい。

 危険な目に遭ってほしくなかった。
 少しでもその心を曇らせるのが嫌だった。
 けれどオレが危ないときに遠ざけることで、彼女が泣くのなら、皆の命ごと守り通してみせる。

「ナックル、お待たせ」

 ちょうど話に一区切りついたところで彼女がナックルの食事を運んできた。

「ありがとう! うむ、今日も究極に旨そうだな。いただきます!」

 ふわふわと湯気をたてるボンゴレビアンコ。アサリの旨味が凝縮されている。茹で具合もちょうど良かった。
 ナックルは心底から味わっているように食べている。幸せそうだ。

 皿の上がソースを少量残すのみとなった頃、オレは脳内のスイッチを『プリーモ』に切り替える。

「ナックル、ルナ、聞いてくれ。これから抗争が起きる。それも今までで最も規模の大きなものだ。オレたちは街を守るために参加せざるをえない。そこで、ここの世話は街のみんなに頼んだから、オレたちと共に戦ってくれないか?」

 彼女が表情を硬くして問い掛ける。

「それは、避けられない戦いですか」
「……ああ。オレたちを潰すために連合が襲い掛かってきている。このままでは、街が危ない」

 アメティスタは瞳を暗く染め、アラウディはむっつりと唇を曲げ、ナックルは眉間に皺を刻んだ。オレもふざけるなと思う。

 か弱い人間を食い物にするなど、オレの目の届く範囲でやらせるものか。





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