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luna
幸福を告げる
「コザァート! 久し振りじゃないか、よく来たな! しかしこの自由人め、羨ましいぞ」
「ハハッ、いいだろ? ジョットもすっかりボスらしくなったな。ますます色男に磨きがかかった」

 ルナが出て行ってすぐに呼ばれたらしいジョットがやってきた。喜色満面にハグしてくる彼に僕も応えて再会を喜ぶ。Gはこう言うことをしない。まったくもって照れ屋にもほどがある。

「仲がよろしいんですね、プリーモ」
「ああ、無二の親友だよ。紹介しよう、シモン・コザァートだ。コザァート、彼女がルナ。オレの伴侶だ」
「はじめまして。ジョットから話はよく聞いてるよ、よろしく」
「こちらこそ。よろしくお願いします」

 安心しきっているようにふわふわと笑う彼女と握手を交わす。きれいな子だ。容姿も整っているけれど瞳が澄んで光をきらきら反射している。
 底にわだかまる闇が、鏡のように美しい光を照り返す。そんなきらめきが好ましかった。

「コザァートさん、コーヒーと紅茶と、どちらがお好みですか?」
「紅茶をもらおうかな。あったらでいいんだけど、できればアールグレイ」
「わかりました、ご用意しますね」
「ルナの淹れる茶は旨いぞ、コザァート。今日はオレにも同じものを頼めるか?」
「ええ、構わないけれど……Gが紅茶って珍しいわね。それでは、用意してきます」

 ルナは動作も美しく一礼してまた出て行った。
 彼女はジョットつきの秘書だったはずだけれど、メイドの仕事であるはずのお茶汲みもしているのだろうか。

「彼女にお茶とかは任せているのかい?」
「ああ。淹れるのも上手いし、何より毒が入る心配もない。前に一度、ジッリョネロと会談しているときに毒が交ぜられてからは、外部から客が来ているときはすべてルナに頼んでいるんだ」
「そう。信頼してるんだね」

 ジョットはこちらが恥ずかしくなるくらいの甘ったるい笑顔と声音で、ああと答える。

「ルナがオレを裏切ることはないし、オレもルナを裏切らない。――愛しているからな」
「…………ごちそうさま。甘くて胸焼けしそうだよ」

 こんなことならエスプレッソを頼んでおけばよかったかもしれない。ベタ惚れなのはわかっていたけれどもここまでとは。今までそういう方面には淡泊すぎるほど淡泊な奴だったからイラつきもひとしおだ。

 それでも、まあ。親友が掴んだ幸せを、今は素直に祝福しておこう。

「おめでとう、ジョット。いい子を見つけたね」
「ありがとう。おまえならそう言ってくれると信じていたよ」

 ボンゴレプリーモとか大空とか、そういう義務じゃなくて、純粋に『ジョット』として幸せそうに笑った彼。そんな顔を見るのは初めてだ。驚きと共にこんな顔をさせられる娘に心から感謝した。





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