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luna
思い立ったが吉日
 そうだ、会いに行こう。
 ふと思い立ったのはついさっきのことだった。
 ジョットとはもう長い間会っていないし、増えた仲間だと言う『ルナ』のことも見てみたい。

「なあみんな、ボンゴレに遊びに行かないか?」

 にっこり笑って仲間たちを顧みると全員悪戯っぽい笑顔で頷いてくれた。流石シモン、ノリのいい奴らばっかりだ。

 ジョットにアポは取っていないけれど、前に手紙でいつでも歓迎すると書いていたし、この頃ならたぶんアジトに常駐しているはずだ。いきなり押し掛けてもおそらく大丈夫。
 もしいなかったとしたって、Gに頼めば待たせてくれるだろうし。

 アイツが羨ましがった自由な生き方を、精々謳歌させてもらおうじゃないか。

 思い立ってから行動するまでに掛かった時間は準備含めて一時間。ついてくるメンバーで揉めたり何か手土産がいるかどうかで揉めたりしたから、自分としてはもう少し短いかもしれない。

「みんな準備はいいかい?」
「おう!」
「ん、なら行こうか」

 くじで決めたメンバーを引きつれ、早速ボンゴレ本部に向けて出発する。全員車に乗り込んだのを確認してアクセルを踏んだ。

 ボンゴレの本部はジョットが元々住んでいた街から少し離れた森の中にある。街に迷惑が掛からなくて、しかしすぐに守れる位置。それを熟考して決めたと聞いた。
 目立たないよう街に車を置いてからは屋敷まで歩きだ。見通しはあまりよくないが移動しやすいようにそれなりに整備されている。まあ攻め込まれれば困るはずだけれど、そこはそれ、ジョットたちの強さでカバー出来るのだろう。

「待て」
「……ああ、Gじゃないか」
「あ? コザァート、てめえ何してんだ」
「ちょっとジョットとルナって子を拝みにね。ジョットがいつでもいいって言ってたから来てみたんだけど、ダメだった?」

 こちらをまじまじと見た後、Gは深いため息を吐いた。失礼な。

「もういい……。コザァート、あとシモンファミリー。ボンゴレへようこそ。ついてこい」
「ありがと、G」

 その先は今までと違って迷路のように入り組んでいて、案内がないとなかなかたどり着けなかっただろう。それに昔馴染みとはいえ幹部であるはずの彼に案内させるなんて、素晴らしい待遇だと思う。つくづく自分の運の良さに感謝した。

 ザクザク進むこと大体十分。
 ちらちらと見えていた屋敷が目の前に表れた。

「ふぅん、話には聞いてたけど壮観だね」
「あー……ジョットは嫌がったんだが、街の奴らがノリノリで建ててくれたんだ。シモンも腰を落ち着けたのは島だったろ? 変わんねえよ」
「そうかな。まあでもここに住みたいとは思わないけど」
「そういう奴だよ、てめえは」

 またGがため息を吐いた。本当に失礼な奴である。
 屋敷に入って廊下を進み、一つのドアの前で止まる。開ければ黒髪に紫の瞳が印象的な女の子が書類を整理していた。

「ルナ、プリーモに客だ」
「……わかったわ。今呼んでくる」

 彼女はGに了解を伝え、僕には微笑みと会釈をして部屋を出て行った。

(あの子がジョットの宝石、かあ)





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