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luna
愛すべき存在
「ジオ! アラウディも! 来てくれたのね」

 教会の裏庭で子供たちと遊んでいたアメティスタがオレたちに気付き、喜色満面に駆けてくる。明るくきらきらと輝くような笑顔だ。子供たちの抱える闇を癒すためか、彼女はここに来てから殊更明るく振る舞うようになっていた。
 無理はしていないようだが、オレと二人になるとふっと気を緩める辺り、少し取り繕ってはいるのだろう。

「ルナ、今日も美しいな。バラも太陽も霞むほどだ。何か変わりはなかったか?」
「ありがとうジオ、変わりなく元気よ。ナックルも良くしてくれるし、この子たちもみんな可愛いわ」
「そうか……ぐっ!」
「ジオ兄ー!」

 ほのぼのと話している時に横からタックルを食らった。オレの腰に抱きついて無邪気に笑うのは我が従弟だ。黒髪に赤目と、外見上はあまりオレと似ていないが、確かに最後に一人だけ残る血縁だった。

「ああ、おまえも元気なようだな。何よりだ。背も伸びてまた素晴らしく格好良くなったな」
「うん! ジオ兄も相変わらず威風堂々としてて憧れるぜ。なあ、オレさ、ルナとナックルにボクシング教えてもらってんだ。筋がいいって誉められた!」
「そうか、それは頼もしい」

 嬉しそうな彼にオレも微笑んで頭を撫でてやる。この子は生まれてすぐに両親を亡くし、それからずっとオレが面倒を見ていたから、もう実の弟か息子になったような気さえする。
 ボンゴレを作り、忙しくなってからは寂しい思いをさせたくなくここに預けたが、変わらず楽しくやっているようで安心した。

 彼女と従弟が並ぶと、同じ黒髪で瞳の色も赤と紫で近いのも相まって姉弟のように見える。彼女の実の弟も確か従弟とよく似ていた。もしかしたら薄くでも血が繋がっているのかもしれない。

 まあそんなことはどうでもいい。アメティスタはアメティスタ、かけがえない存在だ。そんな彼女は今、従弟と会話している。なんとも微笑ましい光景だ。

「本当にジオが好きなのね」
「おう! ルナも好きだけどな」
「ふふ、ありがと」

 外見だけでなくともあの子と彼女はよく似ている。自分で言うのもなんだが二人とも行動の基準はオレだ。それに孤児であるということも。
 二人とも大切なひとだから、仲良くなってくれるのは嬉しい。

 アラウディと並んで子供たちの相手をしながら彼らを見守るオレは、まさにアメティスタが最初にオレを引き合いに出してあの子との親交を深めていたなんて知る由もなかった。





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