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luna
ラ・ルーナ・ミーア
「プリーモ! 抜け駆け禁止だものねっ!」
「まったく、嘆かわしい。ボンゴレを担う男がそんなことではいけませんよ」
「ルナはこれから門外顧問になるんだからリングは確かにいるだろうけど……その指を選んだのはいただけないな」
「まあルナ、こちらへ来てくれるでござるか?」
「ルナにオレたちからもプレゼントがあるのだ!」
「そんなわけだ。おらプリーモ、退け」

 ボンゴレ本部に帰り着いてすぐ、出迎えてくれた守護者連中に彼女を奪われた。こと彼女に関してはオレの扱いが悪すぎる気がする。別に外面は取り繕えているから構わないけれど、もう少しボスに押し上げたのなら考慮してほしいものだ。

 代表してGがアメティスタに何かを差し出している。

「これ、プリーモと同じ?」
「そうだ。てめえに似合う武器はこれだろうと思ってな。使い方はプリーモに聞け」
「ありがとう……!」

 彼女が手に着けた黒銀のグローブにはとても見覚えがあった。オレが使っているものに酷似している。多くのひとの協力を得て究め、作ったグローブだ。忘れるわけがない。

「G、いつの間に……」
「てめえがこそこそ用意しだした頃からだ。ちゃんとグローブの戦闘法教えてやれよ」
「なっ……そんなこと、一朝一夕では、!」

 してやられた。それがGたちの狙いだったのだ。
 必要以上にオレと彼女が疎遠にならないように、グローブの扱いを教えるという大義名分を持って会いに行けるように。

 まったく、粋な計らいをしてくれる。

「……ルナ、また教えに行く」
「はい、プリーモ!」

 彼女が嬉しそうにしているし、オレも行ってはいけないという思いと会いたいと言う欲求に板挟みだったから、まあ、いいのかもしれない。

「素直じゃないてめえにも、いいプレゼントだったろ?」
「……うるさい。ほらルナ、そろそろ出立の時間だ。ナックルも準備はいいか」
「プリーモ真っ赤だものねー」
「究極に照れておるな! よしルナ、準備はいいな? 案内するぞ!」
「はい!」

 ばたばたと荷物を持ってきた彼女がナックルに続いて屋敷を出ていく。玄関でくるりと振り向いて、満面の笑みを浮かべた。

「皆さん、本当にお世話になりました。行ってきます!」

 闇は今だ彼女に付きまとい、おそらくその笑顔は太陽のように明るくなることは二度とないけれど、その陰をも解け合わせて輝く。以前見せた人形のようなものではなく生気を帯びて美しく。

「Arrivederci!」

 見送る全員からの別れの台詞は再会を確信したものだった。タイミングまで綺麗に重なっていることに少し吹き出してしまった。

 また会おう、アメティスタ。
 愛しい愛しい、オレの月。



La luna mia, finecorsa.



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あきゅろす。
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