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いつも通りの帰り道の中でいつも通りに歩いていると少し前に歩いていた男の子が小さな鍵を落としていった。当然のように拾って男の子に声をかけるとなんとも中性的な顔をした、いわば天使のような子だった。
「鍵落っことしたよ」
「わあ、お姉さんありがとう!これとっても大事な鍵なんだ!無くしてたら大変なことになってたよ。どうもありがとう!お礼に何かしたいんだけど欲しいものとかある?」
自分としてはただ普通に鍵を拾って渡しただけなのでいきなり欲しいものと言われても困ってしまう。適当にさっき本屋で買ってきた学園アリスに目をつけ私にもアリスが欲しいなあなんて冗談を言ってみた。
「漫画のお話かな?それじゃぁそのお話の世界に飛んでもらうことになるんだけど大丈夫かな?」
「飛べるもんなら飛びたいね、学園アリスの世界」

気が付くと真っ白な天井が目に入った。起き上がると体中がぎしぎしと痛む。どこかからか落下したみたいに。ここは一体どこなんだろう。今の状況に思考が追いつかないまま声をかけられた。
「目が覚めたみたいだね。体は痛くない?大丈夫?」
「体は…痛いです。」
声の方向に目を向けるとそこには信じられない人物が居た。さらさらの金髪に綺麗な顔立ち、先ほどまで私が手に持っていた学園アリスに出てくる鳴海先生だった。これは俗に言うトリップというものなのだろうか。妙に冷静になりながらだんだんと状況を理解し始めた。
「あの…ここは?」
「ここはアリス学園の病院だよ。君がアリスを持っているかは分からないんだけどこの学園の目の前に倒れていたっていうことは何かしらありそうだから保護したんだ。」
ああ、やっぱりか。本来ならば喜ぶべきことを何故か絶望に近い感情を抱いていた。あの男の子はいわば天使、ではなくもろに天使そのものだったのだ。



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