七月の東京にて 東京のジトリと暑い夜、僕らはパンサーのヘアバンドを探して、外に出ていた。 「不思議なものだな」 隣のゴンザレスに突然話しかけられて、頭を植え込みの下から持ち上げる。 「何が?」 「以前だったら真っ先に怒るのはホーマーのほうだったろう?それが今や完全に止める方だったからな」 ああ、バスの中での話ね。 「恋をするとなんとか、てやつじゃないの?」 飲み込めないらしく、眉間に軽く皺寄せた相手をくすりと笑って、また視線を植え込みの下に戻して続けた。 「でもまぁ確かに変わったよね。大人になった」 「ふむ」 「けど、ホーマーだけじゃないよ。僕らだって普通にやってきたら、きっとこんなことしてないだろうし」 周りにはお馴染みの気配。異国の夜でも、なんとなく安心できるのは彼等が信頼に足るから。 でもそれは、初めからあったものじゃなくて。 「確かにな」 ゴンザレスも何か感じることがあったらしく、うんうんとうなずいた。 「黒人の子も白人の子も一杯やめちゃったし、正直フィジカルじゃ他校に追い付いていけないこともあるけど、僕ら、良くできたチームだよ」 屈んだ体制から立ち上がると、星はあまり見えないけど、 月は、綺麗だった。 END ************************ 兄が出せて良かったです。本当にあんな監督のもとで良く頑張ってたよみんな偉いよみんな(感涙)事態が事態なので白人でも嫌な子はやめてったろーなー、と思ってます。 |