ふたりぐらし 「相変わらず手際いいな」 パンサーの背中越しにまな板を覘き込み、ホーマーが感心したように言った。 「鍛えられてるからなぁ、婆ちゃんに」 手は止めずに、視線をホーマーに向け歯を見せて笑う。 『俺が料理をするのは、作ってくれる人がいない時だ』 パンサーがいつか言った台詞。今日みたいに、パンサーの祖母が葬式に出かけていない日に、ぼそりと発せられた言葉。 「鍛えられて、ね…」 鍋の中でお湯が沸く。パンサーが蓋を取って、切った野菜を放り込んだ。 「お前、料理好きか?」 「嫌いじゃねぇよ。工作みたいだし」 それに、と調味料を取り出しながらが答える。 「人に頼らなくてもモノが食えるし。…ところでなんでそんな険しい顔してんだ?」 きょとんとした顔で自分を見たパンサーに、ホーマーは溜め息をついた。 ああやっぱりそういうことか。なんでコイツばっかりこういう境遇なのだろう。 「おい、パンサー。てめぇがなんか食いもん作らなきゃなんねー時は必ず呼べ」 「へ?いいけどなんで?」 「てめぇが一番わかってるはずだろーが」 「??」 「絶対だからな」 そしたらお前が料理する時は、一人の時にはなんねーだろ。 作ってくれる人がいなくなった時のためなんて言わないでくれ。食べてくれる人がいる時のためにしろ。 END ******************* ああ文章難ひぃ……。パンサーは炊事洗濯なんでも来い。所帯じみた子。 |