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むしゃくしゃしてやった。後悔はしてない。

いい気分、だ。

好きな人の誕生日というのはやっぱりなんだかうきうきするし、喜ばしい日であるのは確かだし、みんなで祝うとなれば、楽しい。酒が美味い。
パンサーも満足げな顔をしている。満足げな顔をして片付けをしている。空き缶すら愛しそうに拾って、そこが嬉しい。んでもって好きだ。

「おめでとう」
「…何度目?」
「いいじゃねぇか何回言っても」

うつくしく、わらう。
ありがとう。
何度目だよ?

二人でくつくつと笑って、
「俺は幸せ者だな」
とパンサーは呟く。

「こんなにみんなにお祝いしてもらって」
「飲む口実になるからな」
「それでもいいよ」
うれしい。

そう言ってくれるからみんな祝うんだ。と、思ったけどそれは黙っておいた。

「誕生日とかさ、忘れちゃうときもあるのに」
忘れるか。お前が忘れたって俺が忘れない。
そう言ってやると声を立てずに静かに微笑む。きれいだ。こういうときのパンサーは透き通っている。

「あ、でもまず誕生日がわかるってことが幸せかもね」
軽く冗談めかして変わらず笑いながら。
ビールが途端に苦くなった。
















愕然とさせられて。なんでおめぇはこのいい気分を殺ぐんだ馬鹿野郎。

「パンサー、」
「?」
「こっち」

ソファーのほうへ招く。人懐っこい顔をしてほいほいやってくる。黒い手首を掴んで引き倒す。そのまま反転。
「な!」
両手首を封鎖して下に押し付けるとガツンと反発が返ってくる。けどお生憎。俺のベンチの記録、知ってるよなお前。
「っ、や……、待ってよ」
「い、や、だ」
「酔っ払い」
「どうだか」
しっかりとした発音にパンサーは目を丸くして、きょとんと動きを止めた。
すかさず鎖骨に噛み付く。舌も押し付けて一舐め。
「んっ」
また戻ってくる抵抗を押さえつけてそのまま首に吸い付く。噛み跡と鬱血を散らすとだんだんと抵抗が弱まってくる。
「なんかっ…怒ってない…?」
「別に」
「じゃあな、んんっ…んぅ、」

上がってきた体温。ゆっくりと手を解放して、でも体は密着させて、深く口付けする。よくよく唾液が交わるようにして、歯列の形を舌でじっくり確認していけば、膝の当たっている部分に違和感を感じるようになる。唇を離すと、パンサーの口の端からつるりと唾液が流れた。悔しそうな顔をしてそれをさっと拭う。

「乱暴だよ」
「別に女じゃねぇし」
「やっぱ怒ってるじゃん…」
「うるせえ」
「ひ、」

ほら、固くなってるくせに。起き上がられないように体重で押し潰したままパンサーのウェアを脱がす。手っ取り早く下だけ。
勃ち上がっているものにはまだ触らないで、裾から左手を入れ、筋肉で滑らかに凹凸のある皮膚を撫でた。腹を撫でると細かくひくつく。胸の突起に爪を立てると、全身に緊張が走る。
「あッ…ホーマ、…ぅ、くっ…」
指先でこねくる。パンサーの指先はソファーカバーを掴んでいる。皺の寄ったカバー、腰のほうでは垂らした液体で、今しがた小さなシミができた。

「う、んんぁ…」
口を割って右手の人差し指をしゃぶらせる。
濡れた指で後ろをじわじわと慣らしていく俺のことを紅い顔で、非難めいた、というよりはなんだかわけがわからない、という目でパンサーが見つめていた。

「力抜けよ」
「……」
渋々といった顔で力を抜こうとする。(相変わらずへたくそ)なんか腹が立ったので一物を握った。
「ぐあッ!急に触らッ…やっ、…、ぅ」
そのまましばらく扱くとあっけなく吐精する。すかさず指をねじ込む。体がビクンと撥ねた。

「ぅ、…あ…ぁ、うッ…」
とりあえず3本まで挿れて、これじゃあキツいだろうなと思いつつ、ももう我慢ならなくて自分のを出す。
「あ、…ホーマー……」
加減を請うようにパンサーに呼ばれたけど、悪いな、無理。
強引に押し進めると泣きそうな声で痛がる。でも俺を興奮させるだけ。



そうだ俺のことだけ考えてればいい。余計な不安も心配もしがらみも全部シカトして(すまん、俺に真っ向から太刀打ちする力がなくて)この痛みと快楽だけを味わえば良い。
ナァ、だから、



「誕生日がわからなくたって、俺は祝うぞ」
「ッ…、はっ?」
「お前が生まれたこと、一年に一回くらい祝わなけりゃもったいねぇだろうが」
「ふ、…ぁ…」
「だから心配なんてしてんじゃねえよ」



パンサーはわけがわかってるのかわかっていないのか、一度目をぱちくりと開いて、けれどその後歪めたように確かに笑って、微かに首を縦に振った。

その顔があまりにも良かったのでそのままイってしまった。





強引にやってしまったにも関わらず、パンサーはさして怒った様子もなくただちょっと放心していた。
柔らかな頬を手で覆ってやると、一度瞬きをした。
「あんま悲観すんなよ」
できるだけ重たくならないように言った。けろりとした声での返答。
「してないよ」
その強かさが憎らしくて、悲しくてでも大好きで憧れているから悔しくなって

「いや、してる」
「してな、ぁッ…!」

潤んだ目に湿った肌。やっぱり可愛いなとか思いながら、やわやわと袋を揉んで誕生日の残りをどうやってこいつに刻み付けてやろうかと思案した。



END
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エロに飢えてました(正直)
タイトルまんまの気分で書いた。勢いのみです。




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