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吊り橋わたれ
頭をごしごし撫でられて、軽口叩かれて、その返事がとぼけてて、周囲を笑わせた。



愛されている。

まあ愛敬もあるし愛想もあるしからかい甲斐もあるし勤勉なところもあるし実力もあるし好きになる気持ちもわかるんだけど、というか自分も好きなんだけど。
でも本当の理由は、



「何ぼうっと考えてるんだ?」
ゴンザレスの低くて安定した声に尋ねられて、視線を上に移す。
「んー、吊り橋効果について?」
「吊り橋効果?」
「男女がね、一緒に吊り橋を渡ると恋に落ちるんだって」
「ジンクスか?」
「ああ、そういうんじゃなくて。一緒にスリリングな経験をすると恋に落ちやすいってい
う…心理効果みたいなものかなぁ」
「ワット」
「何?」
「好きな奴でもいるのか?」

相手の勘違いに笑ってみたら、どうやら肯定の照れ笑いだとでも思ったらしい。声を潜める。
「……どこの奴だ」
「ここ」
「…冗談だろう?」
まあるくした目が素直で好きだ。どうも自分がひねくれている所為か、他人のそういう部分に弱い。もちろんあの彼のそういう所にも。

「でもねぇ、他のアメフト部よりスリリングだと思うんだうちは」
「…それは……誉められたことではないだろう?」
一層低くなった声は苦い響きで、いやまったく確かにその通りなのだけれど。
でもだからこそ惹かれるんじゃなかろうか。ときたまドキドキするほどに。


「吊り橋を渡ったカップルは、その後もうまくいくのかな?」
「それは本人達のやる気次第だ」
「おっしゃる通りで」


また彼は、肩を組まれていた。



END
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状況が異常だからこそ、あのこが異端だからこそ。
ワトパン、でもないのかもしれない。微妙なところですまったく。うちはワトと兄のペア率高いなぁ。なんか会話させやすいんですよね。







あきゅろす。
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