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BLOW

 パンサーがパンパンに顔を腫らせて、 血を滲ませて部室に入ってきたのはもうかなり遅い時間で、だからまずドアを開けて電気がついていたことに些か驚いたようだった。そして俺を見て驚く。でもその時点で俺はもっと驚いていたからそんな様子にはお構い無しに駆け寄った。

どうした、何があった、誰にやられた、どこで、なんで、いつ、

思考なんてしていない。ただ出てきた言葉をぼろぼろと落とす。掴んだ肩はいかにも頼りなく感じて(それは本当に気のせいなのだけど)荒くなる語気。早くなる動悸。腫れた唇は開かぬままでこれは心配じゃない怒りだ。うすうす感付き始めた自分に向けられる視線。
嫌悪。いや、もっと、拒絶。

拳を振り上げていた。





 弾け飛んだパンサーの胸ぐらを掴んで吠える。 何か言えよ!黙るな! 閉じきりの口が歪む。また殴る。素晴らしい反射速度で殴り返された。腫れた瞼からのぞく双鉾。あ、これは。獣の眼だ。お手軽な保護ごときは喰い千切る野生の獣の眼だ。そんなの見る余裕もなかったけれど。襟を捕えて引き寄せる。また腕が上がった。
 物音だけドタンバタンと派手に響いてそのくせ二人とも喋らない。頭に血が上って言語を忘れた。掴み、殴り、叩き、倒す。気付くとパンサーのヘアバンドは赤く染まっていた。お互いの呼吸が交ざりあっていく。重たくなっていく腕を上げて、またパンサーの頬を殴った。そしてみっともないくらいに泣いた。


 悔しくて悔しくて仕方がなかった。あいつが誰かに殴られている時点で負けで、その真相にやみくもに近付いたところで何もできないのは事実だった。無力だ。ああ、近づいたと思っていたのに。守っていると思っていたのに。とんでもない思い上がりだった。所詮溝を渡ることは出来なくて苛立つ。違う、
 さびしい。



 パンサーは手を止めた。腫れた唇を動かし辛そうにしながら、すまん、と言った。すまん。伸ばされた手、涙を拭った手はどうしようもなく暖かくて、この手をずっと握っていられたらどんなに良いだろうと思いながら、そんなことはとても出来なくなっていた。


END
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はい文章崩壊〜!(泣)
基本消さない方針なんですが。いつかリベンジ実現させたら消させてくださいこれは。
ボコり愛、と同時に、個人的には恋の始まり編でもあったりする。



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