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まだら
「黒豹にもね、斑模様ってあるんだよ。知ってた?パンサー」



ワットの薀蓄が披露されるのはしかるべき流れを伴う時もあれば、まったくもって唐突な場合もあり、今回は後者だと思われた。
いずれの場合にしても、パンサーは素直な好奇心を示し、感嘆した。薀蓄を披露するには好都合な相手に違いない。そして今回もいつも通り、好奇心に軽く目を大きくして、ワットのほうを見た。

「え、そうなの?」
「ちょっと見ただけじゃわからないけどね、明るいところで良く見ると、ちゃんと豹柄が見えるんだ」
「へぇ〜〜!」
「背中とか」

ぞわ。

え、何これ。
ワットが言葉を発すると共に、何かが這うような感覚を背中に感じた。
しかしパンサーは気のせいだろうと、相変わらず人の良い顔でワットの話を聞き続ける。
「首とか」


ぞわぞわ。


再び迫る感覚に今度は恥ずかしくも身震いしてしまった。錯覚とも違うらしい感覚に、パンサーは一人戸惑う。ワットは穏やかな顔をしてパンサーを見ている。一見穏やかな笑み。しかしその中に何か不吉なものを感じて、

パシンッ!

蚊に食われでもしたかのように、パンサーが突然自分の首を叩いた。
顔が赤い。耳も赤い。


「やっと気付いたねパンサー」
「〜……!!」


首を手で覆ったまま離そうとしないパンサーを見て、ワットは満足げに笑った。
「虫に食われたって言うにしては多すぎかなぁ」
「み…見える?」
「黒豹の模様が?」
「っ…!」
「背中のほうもスゴそうだよね。この様子じゃ」
「…ど、どうしよワット」
「とりあえず、首はタオルでも巻いておいたら」


急いで鞄の中を探るパンサーを、楽しそうにワットは見ていた。


END
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リサイクルネタ。
以前拍手に使用しましたが気に入っていて書き直しました。前のよりも地の文増量。
豹柄をつけたのは誰だよっつー。どうにも隙の多いパンサと、S気味のワト様。



あきゅろす。
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