尽くす恋なのよ
最大にして最強の恋敵。
あのオッサンなんか目じゃない。ミリオン単位の人々が夢中になる絶世の。
パンサーもその一人だ。
二人きりで部屋にいるというのに無言。
ベッドの隅に腰掛けるパンサーは背を軽く曲げてひたすらにビデオを見続ける。画面を見る目は、豹の眼。
静かだ。
静かであるが故に奴がどれだけの熱を持って見ているのか、体温で感じてしまうくらいだ。
もちろん共に楽しめれば一番良いのはわかってる。けど、俺もうその試合見たし。むしろ3度目くらいだし。きっとパンサーの一番の“才能”に付いていく自信はねぇ。(残念でがっかりすることではあるが)
テレビとビデオと部屋を貸して、都合よく使われていると言えばそれまでで、俺ってばなんて献身的。
でも仕方ない。その才能に惚れ込んでしまったから。誰しもが持っているわけではないそれを、持っていないが為に俺は惹かれる。
ぼんやりと画面を見た。テレビの中は雪景色。もうそんな所もあるのかと。南のほうだとは言え、きっとここも外は寒い。
大して暖めてもいないのに、部屋の中が暖かいのは二人居るせいか?
ちょっと、寄りかかってみた。
パンサーの体温は予想通り高い。視線は前を向いたまま。
もっと、寄りかかってみた。
まだ前を向いたまま。無関心?まさか。そうだったら悲しいと思いつつ胸に湧くのは不安よりもだから、
頭を乗せる。膝に。
少しだけ視線が向けられた気がした。でももう前を向いている。
まあ、悪くないなと思う。何かに情熱を向けるその時に、すぐ傍にいることが許されるならなんかもうそれで満足だ。
なんて心が広いんでしょうと自賛すれば、その原因は多分コイツが傍に居たからに違いない。
END
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乙女おとめオトメエエェェ…!!(笑)
私本当にホーマーはパンサーのこと大好きにしか見えないんですが。
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