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ぺしゃんこ
いっそのこと潰れてしまえばいいと思っていた。ひとりは辛いとみんなちゃんと知っていて、彼が好きだからこそ切れてしまえと。
そのためにお酒を使ったまでで。



どんちゃん騒ぎの真ん中で、パンサーは真っ赤な顔をしていた。
ナッツを一つ口に入れ、ゴンザレスに愚痴る。
「こういう時さぁ、ザルは損だと思わない?」
「まぁ確かにそういうのはあるかもしれんが」
「相当飲んでるね」
「…飲まされているというほうが正しいな」
「しかもハイペースだ」
「羽目を外し過ぎなければ良いが…」
「んー、でもなんだっけこういうの」
「どうしたワット」
「なんか名前がついてたような…」
「名前?」
「……ハラスメント…」
「セクハラではないと思うが」
「あ、思い出した。こういうのアルコール・ハラスメントって言うんだ」


どさぁっ

パンサーの倒れた音がした。


*

「おはよう」
目を覚ましたパンサーがぼんやりと僕を見る。顔が青い。
「ここ…」
「ホーマーん家だよ。昨日はとても家に返せそうになかったから」
会話しようと口を開いたら言葉以外のものが込み上げてきたらしく、素早く立ち上がりトイレに駆け込む。
―数分後、口許を拭きながら出てきた。涙目だ。
「……情けない…」
「まだ顔が青いよ。もっと休んでいったら?」
「でも…バイト、が…」
「その臭いで行ったらむしろ迷惑だと思うけど」
頭に手をやりながら、ふらりふらりとソファーにたどり着く。
「…あたまいたい……」
「だから休みなよ」
「ん…部活ない日で良かっ、た……」
そのまま力無く倒れ込んだ。

「すまん…調子乗りすぎた……」
「今後気をつけるように」
「…はーい。みんなは……?」
「帰ったよそれぞれ」
「ホーマーは?」
「自分の部屋で寝てる」
「ワットは?」
「家に連絡して泊まった」
「…全然おぼえてねー……」
「だろうね。いきなり倒れるんだもん。みんなびっくりしてたよ」
「………」
うつ伏せに寝る。表情はわからない。
ただ、非常に残念そうに申し訳なさそうに少しだけ悔しそうに、息を吸って吐いた。


うーん、同じ気持ちだねぇこちらとしても。
潰れたり切れたりする前に飛んでしまうのか。なんて危なかしいのだろう。



実際あの直後の空気は氷点下まで一気に下がった。
パンサーはべろべろというより明らかにぐたりという感じで、全員が心を合わせて「しまった!」と思ったに違いない。
皆の密かな期待(意識している人はほとんどいないんだろうけど)は打ち壊されて、顔を見合わせて心配する。が、休ませておけばどうにかなりそうとわかるや否や、元の温度に戻せる現金さは感嘆に値すると思う。

「みんな朝に様子見に来るって言ってたから、来るかもね」
「なんか…病人みてー…」

重病人でしょ。
って心配しすぎかな。
ホーマーのこと言えない。



END
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酒ネタは多分まだまだこれからも出てくると思います。ホマは飲むと散々感情を吐露しそうなんですけどね、パンサはそこを飛ばしてしまいそう。



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