Happy Bitter Birthday 『ねぇ、誕生日、何欲しい?』 甘ったるい声。甘ったるい表情。 甘いものは嫌いではない。 清楚な女も好きだが、情に通じた女も好きだ。 『ねーぇ!』 自由回答問題でないことは知っていた。 お決まりの答えを返して、それなりに楽しんだの去年の誕生日。 あいつはケーキをくれた。 手作りの甘いケーキ。女の子みたいですまねぇなと笑いながら謝って。女の子を貰うより、本当は嬉しかったのだあの時既に。 でも、足りなかった。 * 「もっと甘いのがいい」 プレゼントに文句。不躾な発言にパンサーはぱちりと目を見開いて俺を見た。 「え、これ結構砂糖入れたんだけどな。ホーマー味濃いほうが好きだし」 「じゃあ食ってみろよ。たいして甘くねぇから」 白いクリームが付いたところを、指でつまんで口に含む。すかさず口を覆って、舌とケーキを奪い取る。 慌てて押し返してくる長い腕。 「っ何…!?」 朱く染まった頬が可愛い。手を伸ばして触れる。 「…足りない」 「何がっ!?」 「甘さ」 皆が帰ったロッカールームは静かで、普段騒がしい分それが際立った。また会う約束があった。あいつら、俺の誕生日にかこつけて飲みたいだけだ。(別にいいのだ。俺もいつもそうだから) あと数時間で今日が終わる。ワガママをやれる権利を持っている(気がする)今日が。なら、今のうちに。 手を、すばやく衣服の中に滑らして、びくりと反応したパンサーの皮膚を撫でつけた。 「ホーマッ…!」 目を丸くして唱える自分の名に、気が急く。 まだ状況を理解しきれていないパンサーをベンチに押し倒すのは思いの外簡単で不安になる。 俺じゃなくてもこうなるのではないかと。 不安を掻き消したくて、首筋に痕を残す。 見えるか、ここじゃ。知るか。もっともっと。足りない。 服をたくし上げて、丁寧に鍛え上げられた胴に、舌を這わす。割れた腹筋から胸元。ぺろりと。そして左側の突起を。 「…ひぁっ、……」 驚いただけかも知れない。なのに漏らされた声に興奮して、執拗にそこを舐める。やがてつんと尖った。愛しくて歯を立てる。いつの間にか肩の上に置かれた手に、きゅっと力が籠る。 顔を見上げた。紅潮した頬目を細めて。瞼が細かく震えている。恥ずかしそうにすぐに伏せた。もっとだ。もっと。 下着ごとズボンを下ろした。固くなり始めている、パンサーのを握った。 「っ…く、」 始めに少しだけ唸ると、それ以後パンサーは声を出さずに黙っている。やたら静かで、淫らな水音だけが聞こえた。 くちゃ ちゅ どんどん、膨らんでいく。俺の、下だけじゃない何かだ。酷く圧迫感があって苦しい。 こんなに苦しかったか去年は。違う今日だけじゃないいつもだ。なんでこんなに余裕がないだこいつ相手だと。必死に。必死で。 欲しい。でも無理だ。わかりきっている。パンサーはこんな行為すら拒否せずにいてくれるけれど。 指を濡らして後ろに挿した。きつく絞まるそこを徐々に慣らしていく。 「入れるぞ…」 こくんと頷くパンサー。やっぱり可愛い。 ゆっくり、ゆっくりと穴を埋めていく。暖かい。 「痛く、ねぇか」 「へい…き…」 根元まで入れてから動かした。長い足が力無く揺れる。 肌を密着させて、それでも足りなくて額を擦り合わせる。 「ホー…マ…?」 「……て」 「え?」 言い切ることはできなかった。やっぱり駄目だ。こいつ相手だと。 苦しい苦しい。 でも、そんなのどうでもいいくらい、 愛しい。 やり終ったあと、気だるさと恥ずかしさで、二人してしばらく黙っていた。 「…もう、こんな時間だな」 「おぅ」 「みんな待ってるよ」 「飲んでんだろ勝手に」 あと、数時間で今日が終わる。一つ歳をとる日。 「甘かった…?」 ぽつりとパンサーが尋ねる。 「いや、すげぇ苦かった」 軽い調子で答えた。 「何だよソレ」 「そのまんま」 「う〜ん…」 どっちにしろ俺が選んだんだ。 とは言わなかったが。 てめぇといると苦くて苦しい。けどな、一緒にいる価値、十分にあるんだよ。悔しい事に。 言わない。今のところは。 「口直し、する?」 少しだけ崩されたケーキ。パンサーが差し出した。 手を伸ばそうと体を寄せると、不意に口移しで入ってきた。 唖然とする俺に、微笑んで言う。 「ハッピーバースディ。ホーマー」 END ****************** はい!エロでした。描写に字数取られますねエロは。その上難しい…。 甘いのか苦いのかなんなのか。なにはともあれ誕生日おめでと! あの、感想お待ちしてます…。 |