短文書架 笑って(土→近) 部屋に眩しい光が差し込んでくる。 その光で目が覚めた。 ああ座ったまんまの体勢で寝ちまったのか、と鈍い痛みが走る腰を擦りながら部屋を見回した。 …ああ、きれいだ。 朝の光に包まれて眠る彼の人。 穏やかな表情はとてもきれいで思わず見惚れる。 だけれども、いつもより何故か遠くに感じてしまう。 「近藤さん…」 早く、おはようと言って笑ってくれ。 あの人懐っこい笑みでこの距離をさっさと埋めてくれ。 「近藤さん…」 笑って笑顔を見せて。 あんたが笑うと空気が和らぐんだ。 男ばかりのあの屯所が殺伐とした空気にならないのは、あんたが笑ってくれるから。 「近藤さん…朝だぞ、起きろ」 柔らかな表情を浮かべ眠る、彼人の肩を優しく揺する。 「起きろ、近藤さん」 早く起きて、 そして笑顔を見せて 「近藤さん、みんな待ってんだ、あんたが起きるのを」 早く早く 笑顔を見せて。 end. 07/05/31 **** アトガキ そこはかとなく暗い空気が流れるSS。 書いた本人的には、どんな場面でもいいかなーと思ってます。 恋とかじゃなくて、たましい全部で近藤さんのことを好きだといいな。真選組のみんなは。 恋でもいいけど。 |