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短文書架
導く貴方
『銀ちゃん』と言って笑うリーダーは、かわいい。

おれにも同じように笑顔を向けて欲しいと切に願う。





バキっ!

「リーダー…痛い…」

「離すアル」

誇り高く美しい(可愛い)リーダーからの頭突き。

「俺も銀時と同じようにリーダーに優しくして欲しい」

「無理アル」

先程からずっと顔を見せないリーダー。

せっかくの二人きりだというのに…

「銀ちゃんは居ないんだから、早く帰れ。手みやげのないヅラには用はないアル」

「ヅラじゃない桂だ。…手みやげはさっきリーダーが全て食べ…」

バキっ

「余計な口はきくな。早死にするアル」

再びリーダーから頭突きを与えられた。





その日の午後―
万事屋のチャイムを押す。すると中からパタパタと小さな足音が近付いてくる。

「銀ちゃん!」

ガラリと勢いよく硝子戸が開く。
中から飛び出してきたのは、主人を出迎える犬のように嬉しそうな表情をしたリーダーだった。

笑顔が一瞬にして曇る。

「え…っと、銀時くんいますか?」

「居ない」

素っ気なくそう言って戸を閉めようとするのを止める。

「うむ、さすがリーダーだ。いい勢いで閉める」

じんじんと鈍く痛む手。
不機嫌そうに見上げてくる眸。

リーダーのくるくると変わる表情は見ていて飽きない。

「中で待たせてもらえないか?」

「銀ちゃんを勧誘しようとしても無駄アルヨ」

「今日の用件は依頼だ」

「銀ちゃんから、私一人で留守番しているときは、ひとを家に上げちゃいけないって言われてるヨ。だから帰れ」

「…そうか、手土産を持ってきたのだが…」

「ごちゃごちゃ言わずにさっさと上がれよ」

「いや、帰れと言ったのはリーダーだが…」

「じゃあ手みやげだけ置いて帰れ」

「…邪魔させてもらおう」





そうして現在に至る。







「ヅラ…」

「ヅラじゃない桂だ」

「なんで、こんなことになっているアルカ?」

「リーダーがかわいいからかな」

「銀ちゃん、新八…早く帰ってこい!」

腕の中で、藻掻くリーダー。
先程からずっとソファーの上で、リーダーを後から抱き締める。

手みやげの菓子を貪り喰うリーダーが可愛らしくて、思わず手が出てしまった。

頬についた菓子のかけらに手を伸ばし、取ってやる。それを自分の口に含むと、驚いたように碧い眸を見開くリーダー。一気に朱く染まった顔が、また可愛くて、気が付けば細い白い腕を掴んで引き寄せていた。
さすがはリーダーで、素晴らしい反射神経で身体を反転させ逃れようとする。が、おれの方が少し早かった。




後から抱き締め続ける。
逃げ出せないように上手く力をかける。

「リーダーは細いな。ちゃんと飯を食わねばならないぞ」

耳元で囁けば、細い肩がビクリと震える。

「うむ。可愛い」

「調子にのるな!!」

ガツン

器用に首をふり、背後めがけて本日3度目の頭突きをする。

「…痛い、リーダー」

「痛くしてんだヨ!」

「さっきからリーダーの顔が見えなくて寂しいんだが」

「オメーが後から抱き締めてるからだろうが!!!」

「ああ、そうか」

「うあ!」

ひょいとリーダーを持ち上げて、リーダーを向かい合わせで座らせる。

「こうすればリーダーの顔が見れるな」

「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「え、ちょ…リー」

ガッ!!

ああ、しまった。
うっかりリーダーの手足を自由にしてしまった。
顔を真っ赤に染め、何故か涙目のリーダーからの鉄拳制裁。

そんなリーダーの表情も可愛い、と思いながら、意識は遠のいていった。





end.
07/08/11
07/08/15修正


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アトガキ

うちの桂は積極的ですねー!笑



あきゅろす。
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