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煩い食堂。


「気持ち悪い。」

誰かが言った。
同じ黒髪のその人は私とは違う人間だった。




『ぅ…、ん…。』

「れーちゃん?寝不足?もうお昼だよ。」



聞き慣れた心地良い声が聞こえたと同時に目が覚めたのかと自覚した。

昨夜明け方まで起きてたのがいけなかった。



「食堂、行くんでしょう。」

『…媛乃。』

「早く行かないと座れなくなっちゃうよーっ。」



月に引っ張られながら教室を出る。
まさか地獄絵図が待っていようとは思っても見なかった。




















「「いやあああああっっ!!」」

「うるさ…、」



食堂に入った瞬間にこだます黄色い声に思わず顔をしかめてしまう。

そして目に飛び込んできたのは有り得ない光景。



「「翠様あああっ!!」」

「奪っちゃった。」

「な…、なななな、んで…。」

「んー、なんとなく?」

「あ…有り得ない!!」



突然食堂内が眩しく光ったと思えば転入生であろう彼女は消えていた。

簡単に説明すると…私達が食堂に入って来た時に何故か男が転入生にキスしていた→転入生、訳を聞く→なんとなく?→怒って(多分)目眩ましで逃走。


その男の名は、先程女の子達がちらっと言いました。香蓬院 翠(カホウイン スイ)。生徒会会計。

因みに私にうるを与えてくれたマスターです。


つかつかつかと足早にマスターの元に歩み寄る。
気付いていてなのか、それとも気づかないのかはわからないがこちらを見ないマスターにいらっとする。



『失礼だけれど、正式な食事を摂る場であのような不埒なことをするのは如何なものかと。』

「……君って確か三大姫の1人だよね?」

『人の話聞いてる?あんた馬鹿?』

「ちょっとれーちゃん!!そんなこと言っちゃめっ!」



あ、いたんだ月。
月のことだからとっくに避難したかと思ったのに。

だってもう1人、月の天敵がいるからね。



「月、こないだはよくも逃げてくれたなぁ、あ゙ぁ?」

「ひっ…!わーんっ!れーちゃん助けてえ!!!」



涙目になりながら後ろに隠れる月。
溜め息を吐きながらも助けちゃう私はやはり月に甘いのだろうか。



『月に近付かないで、会長。』

「零、名前を呼べって言ってるだろ。」

『…馴れ馴れしいのは嫌い。』

「皇雅、早く食べないと時間ないけど?」

「翠…ちっ、またな零。」



去って行った会長。ほっと息を吐く月。
そういえば片割れは何処行った?



「あーっ!媛ちゃんなんで先に食べてんの!?」

「…駄弁ってるのがいけないんでしょ。大丈夫、零の食事は頼んでおいたわ。」

「僕のは!!?」

「自分で頼めば?」

「…媛ちゃんの馬鹿っ!!」



今日も何時ものようにお昼休みのスタートです。






(道化師は愉しむ)
(だってつまらないでしょう?)







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