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8 終



「はぁー、つっかれたねぇ。媛ちゃんてばスパルタすぎるんだよっ。
ねぇ、れーちゃん?……どうしたの?」



私の部屋のソファに怠そうに座る月は、俯き言葉を発しない私を不審に思ったのか顔を覗き込んでくる。



『月は、凄いね…。』

「…れーちゃん、」

『私にはそんなこと、……ううん、私のせい…、』

「なんで?」

『え、』



月の言葉に驚いて顔を上げる。
真剣な眼差しを此方に向ける月がそこにいた。



「なんで、れーちゃんはそう思うの。」



主旨を言わない私の言いたいことが分かったらしい。

私は月から視線を反らせない。



『私が、力を…なくしたから、月が代わりに、』

「それって、何の為になくしたの。」

『そ、れは…』

「……れーちゃん、僕はね?別に王になりたいとか、世界の為に頑張ってる訳じゃないんだよ。」



月が私から視線を反らした後も、私は外さなかった。



「あのね、僕はね、れーちゃんの為に頑張ってるの。」

『私の?』

「僕が頑張って王になれば世界は崩壊しない。崩壊しないってことは、れーちゃんとこれからもいっぱい一緒にいれるでしょ?」



ほら、だかられーちゃんの為。
ふわりと笑う月に涙腺が緩んでしまう。

穢れた私には到底そんなことは言えないし、考えられる自信がない。



「さぁーてと!そろそろ打ち上げ行かないとまた媛ちゃんに怒られちゃうね。
僕は先行ってるから、落ち着いたら絶対来てねっ。」



こくん、と頷くともう1度絶対だよと念を押してから部屋を出ていった。


しーん…。静まり返る室内は少し寂しくなる。

そんな中、少しでも物音がすれば良く聞こえる訳で。
音がした方に目を向けることなく、静かに口を開いた。



『どうやって入ったの。』

「……。」

『何でいるの。』

「……。」



言葉を発しない人影に苛々してしまう。

振り向こうとしたらそれを制止するかの様に首に温もり。



『何で、いっつも…、』






(こういう時ばっかり、)
(……ずるい。)






*前

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