7
不意にポケットに入れていた携帯が震えた。
無視しろと目で言われたけどそういう訳にもいかない。
手に取って通話ボタンを押す。
『もしもし。』
〔あ!零っ、今何処にいる!?〕
でかい声に思わず携帯を耳から遠ざける。
相手は異母姉妹である葵だ。
『…っ、音量下げて。この間注意したこと、もう忘れたの。』
〔ぅ゙……、ごめんなさい…。〕
『…で?』
〔え?〕
『私に用があったんじゃないの。』
あぁ!と思い出したかの様に声を上げた葵に思わず溜息を吐いてしまう。
〔今零の教室にいるんだけど、媛乃が苛々してるから早く帰ってきた方が、あ!ちょっと!…―してっ、――さいわね…、〕
『??』
〔もしもし、零?〕
言い争う声が消え、代わりに媛乃の声が耳に響く。
『媛乃。』
〔休憩は後10分で終わるわ。大体いる場所は想像つくけど呉々も遅れない様に。
あ、あと皇雅に代わりなさい。〕
苛々してるというのは本当らしい。
簡潔に私への用件を口にした媛乃は目の前にいる会長に話があるらしい。
言われた通りに会長に携帯を渡す。
首を傾げた後に渋々それを耳に当てた会長は眉間に皺を寄せた。
「なんだ。あぁ?お前には関係ねぇだろ。…あぁ、わかってる。じゃあな。」
電話を切った会長はいきなり立ち上がって手を差し出してきた。
私はその手に自らの手をそっと重ねた。
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