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唯顔を見に来てくれただけなのか、さっさとこの場を離れていく3人の背中を見て寂しいと思ってしまう。
キョウくんは相変わらず忙しいみたいだしサクだって、幾分良くなった様だけどあまり外出は許されてないらしい。
レンくんは、学校に来てるみたいだけど姿を見たことは1度もない。
あれからゆっくり話も出来てない……。そこまで考えて、やめた。
媛乃が笑顔で此方を見ているから。
何かされてはたまったものじゃない。無心になって接客を再開させた。
「お疲れさま。」
『月、…お疲れってまだ終わってないんでしょ。』
1時間だけ媛乃に休憩を貰った私は、取り敢えず疲れたから近くの椅子に腰掛けぼぅとしていた。
月も休憩なのか、隣に腰掛ける。
どうせだったら何処か回りたいものだけど、如何せん今は疲れている。
もう少し経ってから、と計画を立てていたら月がゆっくり立ち上がる。
私はそれを見上げた。
「れーちゃん、僕と一緒にお店回ってくれる?」
『……今?』
「1時間しかないから、今からじゃないと…、」
『、分かった。』
小さく頷いて重い腰を上げた。
差し出された手を取って喫茶店へと改造された教室を後にした。
『月…、やっぱり着替えた方が、』
「だって時間ないもん。それに、勿体ない…。」
『勿体ない?』
何が?と聞こうとしたが、なんでもないと月にはぐらかされた。
少し納得は出来ないけど、何かを見つけた月の異様なテンションによってあっさり脳内から掻き消えた。
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