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あの人に拒絶されてから早くも2年が経った。
この2年間、僕はあの人を遠くから見てることしかできなかった。
何度か声を掛けようともしたが、あの人にはファンクラブなんてふざけたものがあって。
それのせいで近付くことも出来なかった。
…いや、それを理由にして近付かなかった。
また拒絶されると思うと怖かった。
「ふぅ…、」
「あれ、月ってば辛気臭い顔しちゃって。またあの人?」
机に突っ伏していた顔を上げると、昔より少し大人びた親友の顔があった。
如月火之魅、2年前の入学式に声を掛けてきたイケメンだ。
「コノ、僕もう駄目…。」
「よしよし。」
癖なのだろうか、コノは事あるごとに僕の頭を撫でる。
心地良いと思ってしまっているのは、なんか恥ずかしいから内緒だ。
「コノー、帰ろ。」
放課後、何時もの様にコノに声を掛ける。
申し訳なさそうに振り返るコノに小首を傾げた。
「今日委員会あって帰れないんだ。ごめんね、月…。」
「いいよいいよ。僕1人で帰るから。」
1人で帰ると言った僕に大きく目を見開いたコノ。
コノがこういう反応をするって大体予想はついていた。
「だめ!だって月、最近不良に絡まれるじゃんかっ。」
そう。何故かは分からないが、最近よく絡まれる。しかも男。
僕的には抑圧具を外して蹴散らしたい所だけど、この力をコノにバラす訳にはいかない。
コノだけじゃない…。
この学園にいる生徒全員にも。
「大丈夫だよ。寮までだし。だから心配しないで、ね?」
「…何かあったら直ぐに連絡すること。」
「わかってるよ。」
毎度の事ながらコノの過保護さに頬が緩む。
寮まで10分程度だ。
その間に何かある筈ないのに。
「ゆーえーくん。今日は珍しく1人かぁ?」
…あった。何かあっちゃったよ、コノ。
背の高い男が4人。
人間ならば何とか、とどうやって抜けようか考えていたら、なんと全員魔族だった。
嗚呼、終わった…。
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