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諏央学園。
今日からこの学園の生徒になる。
「此処に、あの人が…、」
ずっと探してた。
やっと会えるんだ…っ。
会ったらまず、お礼を言おう。
あ、いや待て。その前に自己紹介が先か。
だって、向こうは僕の事、覚えてないのかもしれないし。
「…、はぁ。」
高揚していた気分が一気に下がった。
でも、もしあの人が覚えていなくても…僕は絶対に声を掛けるんだっ!
それから覚えてもらえばいい。
「よっし。」
ぱちん、と軽く頬を叩き、気合いを入れる。
周りから視線を感じるけど気にしない。
これが僕の第一歩になるんだ。
僕は入学式が行われる体育館へと急いだ。
体育館は大きく、人で溢れかえっていた。
何だか酔いそうだ…。
「君、大丈夫?」
俯いていたら隣の人に肩を叩かれた。
心配しているのか、下から顔を覗き込まれる。
何だか申し訳なくなって僕は苦笑いした。
「大丈夫。ありがとう。」
相手はまだ何か言いたそうだったが、僕は前へ向き直る。
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