解任。
10月某日。
もうすぐ冬に突入するこの季節。
「やだやだやだぁぁぁ!!まだ生徒会出来るもん!」
「んなこと言ったって、右京は3年だから仕方ねぇだろ。」
なんと、書記の右京李兎は3年生だった。
会長と離れたくないからと、解任式を前に駄々を捏ねている。
それを宥める会長。
なんか胸のとこがムカムカする。なんで。
《只今より、解任式を始めます。》
長い理事長の話が終わったのか姫乃のアナウンスが流れる。
右京の名前が呼ばれ、泣きながら壇上に上がっていった。
「時が経つのは早いもんだな…。」
「…そうだね。
あ、そういえば雅臣は?」
「さぁ。だがまぁ、あいつのことだから間に合うだろ。」
「それもそうだね。」
マスターと会長が雅臣の話をしている隙に体育館の壇上脇から離れる。
あの日から何も変わっていない。
そう、何も。
私が力を失ったにも関わらず、皆の接し方は変わらなかった。
それを逆に辛いと感じてしまう自分が嫌になる。
変わったら変わったで嫌なのに。
自嘲気味に笑みを溢し月の元に向かった。
【side:香蓬院 翠】
俺の隣から離れる零を一瞥して、重い息を吐く。
それに気づいた皇雅が肩に手を置いてきた。
「…なに。」
「そう苛つくな。
ずっと一緒にいることなんて無理だって、初めから分かってたんじゃねぇのか。」
「……。」
「あぁ、一ノ瀬間に合ったみたいだな。」
前に向き直った皇雅を軽く睨み付ける。
言われなくたってわかってる。
零は俺には分かり切れない重いモノを背負っていて。
いつか、自分の道を決めて歩いていく。
初めから覚悟だけはしてたのに、いざそうなると辛いものだな。
今や俺と零を繋ぐものはこの契約の刻印だけ。
《続いて、着任式を始めます。》
副会長の声で俺達は、壇上に上がった。
(ゲーム終了)
(俺の負け)
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