こたえ。
ふわふわふわ。
何もない、真っ白な空間に気付いたら浮かんでいた。
ここは…何処だろう。
「零の意識の中、といえば伝わるか?」
意識…?中…?
「零は今、眠り続けて3日目になる。見てみるがよい。」
淡い光と共に映し出された映像。
目を閉じてベッドに寝ている私の側には、会長が頭だけを乗せて寝ている。
不思議な光景だ。
鏡ではなく自分を見ているなんて。
「告げられたのだろう、王に。継ぐ者は零しかいないと。
だから力を失うことを望んだか?」
違う…!
私はサクを助けたかった!
ただ、それだけ…。
「だが、覚悟していなかったのも事実であろう?
この世を納めるに値するのは無属性の魔族のみ。
今の所、認識されている5歳以上20歳以下の無属性は蓬来零、唯1人。」
目の前にいる無の精霊が話し続ける。
嫌味にしか聞こえない言葉に苛々した。
「唯1人の無属性が力を失ったら、この世はどうなるであろうな。」
自分がどうなったって、世界がどうなったって…っ、そんなものより私はサクの方が大事だった!
キツく精霊を睨み付けると、ハリセンを持った別の精霊が突然現れ、無の精霊の頭を叩いた。
それはもう笑顔で盛大に。
「なぁに、苛めているんです?」
「…音の。別に苛めてなどいない。」
「じゃあなんで零が泣いてるんですか。」
冷たい手が頬に触れる。
そこで初めて、涙が出ていることを知った。
「零、1つ質問します。貴女は戻りたいですか?」
もど、る?何処に…?
力を失った私はマスターにもっ、キョウくんにも…、お父さんにも!
…必要、ないじゃない……。
私の言葉に1つ息を吐いた音の精霊は不意に無の精霊を呼んだ。
「これを見ても、そう言えますか?」
再び淡い光と共に映像が流れた。
さっきとは違う、白いベッドに寝ている自分。
周りには、マスターに会長、月、姫乃、キョウくん、レンくん、日向、雅臣…、それに包帯ぐるぐるの痛々しいサク…。
皆、なんで……。
「零が思っている程、彼らは非道ではないってことですよ。」
「零を待っている。お前はどう応えてやるのだ?」
応え…。
私、帰りたい。皆の所に。
「そのこたえ、待っていたぞ。」
「零…、いやゼロ=クラウン。今までの貴女は死ぬ。
最期の歌をここに、生まれ変わるのです。」
口を開く。
自然とメロディーが頭に浮かんだ。
最後まで歌い切り、意識は闇に落ちていった。
(貴女が見えなくても)
(私達は見守っています)
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