覚醒。
『キョウくん…、レイは私です。』
「何言って…、」
『キョウくん…!!』
がしりと腕を掴む。
何が何だか分かっていないキョウくんに、溜め息を吐くレンくん。
涙が出そうになる…。
私ってこんな涙脆かった…?
「レイ、は…髪が短い。」
ぽつりと小さく呟くように話すキョウくんの言葉に答える。
あれからもう8年経つんです。
「レイは…、レイは、闇の力が……」
『無属性でありながら闇が使えない私は要らないですか…?』
闇が使えなくなったあの頃、いつもいつも聞いていた言葉。
ぐ、と押し黙るキョウくんの瞳にやっと自分が映った。
「そんな訳、ないだろ…。俺はどうかしてた…。」
『キョウくん、ただいま。』
「あぁ、おかえり…って言いたいとこだが、家出したお前に興味はねぇ。」
『え…?』
「レーイー、サクの根っこ?とれたよォー。」
キョウくんが戻ったから。と続けたレンくんに、はっと思い出す。
そうだ、キョウくんより先ずはサクを助けなければ。
ばたばたばたと猛ダッシュでサクの部屋まで戻った。
だけど、早くサクに会いたいという淡い期待は見事に打ち砕かれた。
「…かなりの力を使ってたからねェ。自力で回復するのは無理に等しい。」
『キョウくんっ、』
「光属性の奴等なら…できるかもしれねぇな。待ってろ。」
何処かに電話を掛けるキョウくん。
触れられるようになったサクの手は青白く、凄く冷たくなっていた。
(絶対に)
(助けてみせる)
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