強くて弱い。
授業参観から1週間経った。
あの日、結局授業に出たのは1度だけ。
夜李さんは大変がっかりしながら帰って行った。
そしてあの日以来、会長にもマスターにも会っていない。
無論、稽古もしてない。
「…ちゃん、…ぃ、…ゃん!れーちゃん!!」
『っ、吃驚した…。なに?月。』
「なに?じゃないよ!」
「煩い。静かに出来ないの?」
「ぅ゙…、だって媛ちゃん……、」
何か言いたそうな月を叱る媛乃。
仲良くなったなぁ、と再び教室から窓の外を眺める。
「れーちゃ…、」
月が声を掛けてきた途中で、電子音が鳴り響く。
【side:沫 月】
突然れーちゃんの携帯が鳴った。
電話に出る為に教室から出ていく後ろ姿を見て溜め息。
「気にしすぎ。零は強い子よ。」
「そう、だね…。」
れーちゃんは強い子と口にした媛ちゃんは席に着いて、本を読み始めた。
確かにれーちゃんは強い。
今、闇の力を失っていても。
だけど負けるのを、不要だと思われるのを怖れているれーちゃんは、儚く脆い。
僕の闇の力をあげることができれば……なんて、無理な話なのは分かってる。
だけど思わずにはいられない。
がたりと席を立ち、ドアに向かって歩く。
授業開始まであと少し。
僕が出ていくのを知っていたのに、媛ちゃんは何も言ってこなかった。
【side:蓬来 零】
通話終了ボタンを押して項垂れる。
電話の相手はレンくんだった。
終にこの時が来てしまった。
そろそろけじめを付けなければいけない。
キョウくん…。
そのまま屋上に寝そべって目を閉じた。
(決して戻れない)
(あの頃には、)
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