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嘘。
【side:蓬来 零】



あー、いつの間に寝てしまった。
なんだっけ?何の話してたんだっけ。



『ぅ、んん…。』

「零?」



少し身動ぐと会長の声が聞こえる。

それと、かなり耳障りな女の子の声。
一瞬、藤野葵かとも思ったが違ったようだ。

だってほら、会長の事をこーくんと呼ぶ人物はあの子しかいない。



「ちょっとっ、蓬来零!あたしのこーくんにくっつかないで!」

「お前のになった覚えはないんだが…。」

「もうっ、こーくんてば照れ屋さんなんだからぁ〜!」



あーあーあー。
めんどくさいよもう。
大体何でここに右京がいるの。

会長から体を離して、座ったまま雅臣に腕を伸ばす。



『雅臣、立たせろ。』

「なぁに怒ってんだよ、零。」

『…早く。』

「………はいはいわーったよ、お姫様。」



雅臣に担ぎ上げられ、肩口に顔を埋める。

ふん、と鼻で笑う右京。


わかんないわかんない。
何でこんなにモヤモヤするの…。



廊下を歩く雅臣にも鼻で笑われた。
なんなの…。



「どうしたんだ?お前らしくねーな、ヤキモチなんて。」

『っ、そんな訳っ、ない…。』



私の反応にくつくつ笑う雅臣を殴りたくなる…!

というか、ヤキモチって何!
意味がわかんない…。


保健室に着いて、ベッドの上に下ろされた。



『…ごめん、雅臣。』

「お気になさらず姫。……冗談だ、そんな睨むなよ。
日向だって心配してる。何かあったら言えよ?」

『ご、めん…。』



私の頭を軽く叩いてから出ていった。

そして雅臣と入れ替わるように扉が開いた。



『レン、くん…、わたし……、』

「……聞いたんだよね、全部。」



何を聞いたか…、何となく分かってしまってこくりと頷いた。

何でレンくんが知っているんだろう…。



「…闇の力を封印したのはオレ。」

『だ、れの…。』

「……レイの闇を封印したんだ、オレは。」




何で、なんて言葉は出てこなかった。

レンくんは無表情。

嘘だって言って…!
そんな願いが通じたのか、にっこり笑うレンくんに驚いた。



「なァんて、嘘にきまってるっしょォー?まったくレイってば馬鹿なんだからァ。」



あの約束、忘れないでねェ。と言いながら去っていくレンくんを信じることが出来なかった。











(神様、)
(もしいるのなら…、)






*前

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