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昔話2


然程遠くない所で騒音がけたたましく響いた。

びくりと反応する女の子の肩。


小さいながらも俺は早く此処から逃げるように促す。



「にげる……うんそうだ、にげなきゃ。」

「なら早く!」



早く早くと女の子の腕を掴み、急かす俺に対して眉間に皺を寄せた。



「にげるのはきみ、でしょう?」

「はっ?何言って…「こどもはうちにかえるジカン。」おい!」



最後に笑って走り出す血塗れの女の子を呼び止めたが振り向くことはなかった。

名前、聞くの忘れた…。
まぁまた会える、よな…。


















「そう信じていた俺が血塗れの女の子に会えることはなかったんだ。って零…?」

『………、』

「寝るなよ馬鹿。
折角の俺の初恋話を。」



零の寝顔を見ながら自嘲した。

大分昔の事だ。
覚えてる筈もないのに。



「…随分、変わったな。」



変わる事は悪いことではない。
今の零が嫌と言っている訳でもない。
唯、去り際の、あの時の笑顔がもう1度だけ見たい。
唯それだけ。



物思いに更けていると、人の気配がする。



「猥褻行為で謹慎にしてやろーか?か い ち ょ う?」

「わー、寝込み襲うとかさいてーねっ。会長ってば!」

「雅臣にお前は…副委員長の月詠だったか。」



授業参観で人の数は倍かそれ以上。
風紀が動くのは当然って訳か。

それにしても、また面倒な時に…。



「つーか授業はどうした。お前のとこの親も来てるだろうに。」

「残念ながら俺の両親は毎日多忙だからな。今日はいない。」

「なーんだつまんないのー。」

「こら芽衣。」



心底つまらなそうな顔をする月詠を軽く叱る雅臣。

どうでもいいが、騒ぐと零が起きるだろう。
言い合いをする2人を宥めようと口を開く。

だが声を発する前に遮られた。








(こーーくんんん!みっけ!)
(あぁ…今日は厄日なのか…。)





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