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王族。


「…おい。」



焦る背中を見送ってから再び顔を俯かせる。

王達はもういなくなった様だ。


静かな風の音と共にゆっくりと近付いてくる足音。

今度は誰だ…。
顔を上げると見知った顔が其処にあった。



「なんだァ、ナギかァー。」

「…接触しちまったか。」

「あぁ、でも…喜んでた。」



オレ達と過ごした3年、レイは楽しかっただろうか。

…いや、ンな訳ないか。
愛でて力を与え、戦闘用奴隷として利用したんだから。



「…親父はレイに王を継がせようとしている。無属性は今のところレイしかいない。」

「あぁ、ナギは違うんだっけ。」

「俺、は…母と同じ光属性だ。」



王の子供は3人いる。
唯、公表されているのは2人のみ。

長男である蓬来 凪。
次女の蓬来 葵。否、藤野 葵と言った方が正しいか。

そして未だ公表されてない長女、蓬来 零。


王と同じ姓なのに何故レイは何も言われなかったか。
奴隷だった頃のレイを今や極一部の者だけが知っている。

その極一部の奴等が考えたのはこうだ。"王族が奴隷なんてやるわけない"と。


唯の同姓ということで片付けられた。
そんなことはありえないのに。
まぁそのお陰で、たった3年でもレイを手元に置くことが出来たのだけれど。



「アイツは、相変わらずか。」



眉間に皺を寄せ、悔しそうな顔したナギがオレに会った時必ず聞く言葉。

何度聞いても変わらない。


何時ものように眉を下げて首を横に振った。



「キョウくんは壊れちゃった。
オレのせい…。サクはもう、限界なんだ……。」

「…今のレイに会わせてやりゃあ、いいんじゃねぇのか?」



そうだ、とでも言うように俯いていた顔を上げたナギに笑顔を向けられない。

顔を反らしたオレを不思議そうに見つめてくる。



「……キョウくんの中で、時間は止まってる。だから…、」

「そう、か…。」



がっくりと肩を落とすナギ。

そろそろ戻らなきゃァー。と告げて、返事をしない彼に背を向けた。











(サク…)
(オレがかならず…、)





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