ぱにっく。
『ふぁ…。』
ベッドから上半身だけ起こす。
いつもの朝。
昨日あんなことがあったとは思えない清々しい朝。
自室から出れば香ばしい香りが漂う。
「おはよう、零。」
「おはよーっ、れーちゃん!」
『おはよ、媛乃、月。』
月がいることを不思議に思いつつ、いつもの2人に安堵した。
媛乃は歓迎会の日を覚えていなかった。
勿論私と戦ったことも。
「れーちゃん、携帯鳴ってるよー。」
『あ、うん。』
マナーにしてたから全く気づかなかった。
ディスプレイに映る名前を見て頬が緩む。
月と媛乃に不審がられたがそこはスルーして通話ボタンを押した。
((久しぶりだな、零。))
『夜李さん…。何かあった?』
((いや、大したことではないんだ。今日の授業参観楽しみにしているぞ、零。))
『え゙?』
((それだけだ、また後でな。))
『ちょ、ちょっと待って!夜李さ…っ』
虚しく通話終了合図の音が響く。
今夜李さん何て言った…?
授業参観……、ジュギョウサンカン?
しかも今日?
え、なんで?え?
お、落ち着け自分。
とりあえず月と媛乃に聞こう。
「何言ってんのー?先週説明したのにー。
やっぱりれーちゃんってば話聞いてなかったんだね。」
媛ちゃんは先行ったよ。と付け足す月を凝視する。
先週…、覚えがない。
いやでも月は説明したって言ってるし、聞いてなかったのか自分。
何やってんだ自分。
1人で葛藤してると月がにこりと微笑んだ。
「僕の父様も今日来るんだよ。」
『…よかったね。』
「うんっ。
あ!れーちゃんもうこんな時間!遅刻しちゃうよ!!」
『わかったわかった。』
私の腕を引っ張りながら、いつも以上に笑っている月の闇に気づけなかった。
…気づかなかった。
(深い深い闇、)
(誘われてるのはだあれ?)
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