言いつけ。
「サクってばロリコンだったんだァー。へー、ふーん。」
『ろり…?』
「バカの言うことは気にしなくていいからね、レイ。」
ピンクの髪したへらへらしてる男が入ってきた。
サクにバカ呼ばわりされた男は怒るわけでもなく、屈んで目線を合わせてきた。
「レイっつーの?俺はレンヒ=ラファエル。特別にレンくんって呼ばせてあげるからねェー。」
『レンくん…?よろしくお願いします。』
ぺこりと頭を下げると撫でられる。
いきなりさて、と立ち上がったサクに吃驚しながらもその顔を見上げた。
「早速だけどトレーニングしよっか。」
『!うん、やる。』
トレーニングは割と好き。
だっていつも凄いねって褒められるから。
だけど……全然褒められなかった。
寧ろ怒られた。真剣にやってる?って。
『……つかれた。』
「お疲れ様。1週間で力を制御出来るようになるなんて凄いね。」
ソファーの上で項垂れる私の頭を撫でてくれるサク。
初めて褒めてくれたことに気分は上々。
此処に来て1週間、この家にも慣れてきた。
そしていよいよ初仕事。
主人様の護衛。
がっこう、という所に通っている3人は明日で休みが終わるらしい。
主人様はそこで凄く人気。
だからがっこうに一緒に行けって言われた。
明らかに歳が違う私が行ってもいいのかな。
だけど命令だから仕方がない。
主人様とは1週間振りの再会になった。
「行くぞ。」
『はい。』
車に乗り込み数十分でがっこうに着いた。
でかい建物の中はどうなっているのだろう。と少しわくわくしていたら違和感。
視線、声。
周りの女が何か話してる。
『…主人様。』
「我慢しろ。」
怖いとかじゃなくて、気持ち悪い。
思わず主人様の大きな手を握ってしまったが、主人様は何も言わなかった。
「餓鬼、護衛で来たんだろうが。隠れてどうする。」
『か、隠れてないです…。』
連れて来られたのは生徒会室という所。
黒革のソファーにふんぞり返る主人様の傍らに立つ。
背はちょっと私の方が低いぐらい。
短く溜め息を吐いた主人様は立ち上がりドアノブに手を掛けた。
「1時間程で戻る。それまで大人しくしとけ。」
『はい。』
出ていってしまった主人様。
することがなく、ソファーに座って足をぷらぷらしていたらいつの間にか寝てしまっていた。
目を覚ましても主人様は帰ってきてなかった。
…喉、渇いた。
確か来る途中に自動販売機があった筈。
寝起きで朦朧とした意識のまま部屋を出た。
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