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名付け。



母に売り飛ばされた。
別に悲しいとか怒りとかそういう感情なんてない。


売り飛ばされた子供は皆、施設に行き5歳を過ぎていて(5歳になれば自分の属性がわかる)魔族ならば戦闘用。
人間ならば普通の奴隷、所謂下僕になる。

まぁ例外があって魔族でも使えなかったら下僕、なんてこともありえる。


当時5歳だった私は属性なんて知らなくて、施設で調べてもらった結果"無"だということが判明。

多彩な無属性。
誰もがこの力を欲しがった。

だけど5歳の私に力を制御することはできず、戦闘中、主が巻き添えを喰らって死ぬなんて多々あった。


主は頻繁に変わっていく。



そんな時だ。
丁度7歳になった頃1人の男に出会ったのは。



「決めた。この餓鬼にする。」

「よ、よいのですか?黒髪碧眼は厄を呼ぶと……、」

「はっ、俺を誰だと思ってやがる。…行くぞ、餓鬼。」

『………。』



施設から連れ出された。
何回目だろう。この風景。

この男も死ぬのか。と背中を見つめながら思ったが直ぐにどうでもいいかと視線を下げた。


黒塗りの車の後部席に並んで乗り込む。

移動中、男は何も聞いてこず、窓の外をぼーっと眺めてた。


やがて車は停車し、降りろと促されきょろきょろと周りを見渡す。

和風のお屋敷が視界全てを占めた。
今までの主は確かに金持ちだったけどここまでは流石にいなかった。

ああ、不安。



「「「おかえりなさいませ。ガブリエル様。」」」



家に入れば出迎える召し使い達にたじろぐ。

颯爽と歩く男の後ろに隠れながらもついていき、何処かの部屋に入るとやっと口を開く男。



「此処がお前の部屋だ。」

『…こんな広い所…いいんですか…?』

「好きに使え。」



それだけ言って男は部屋を出ていってしまった。

好きに使えと言われても何もすることがなくふかふかソファーに腰かけた。


何分そうしていただろうか。
不意に扉が開いた。



「こんにちは。」

「?…だれ。」

「人に聞くときは先ず自分から、でしょ?」

「……ゼロ=クラウン。」



名前を口にしたのは何時ぶりだろう。妙に緊張した。

目の前の男はやっぱりと呟いた後、綺麗に微笑んだ。
男の名はサクハ=ミカエル。



「サクって呼んでね、レイ。」

『レイ?』

「ゼロはレイとも読めるからね。」



レイ、レイ、レイ…。
何度も心の中で繰り返す度、何故か嬉しくなった。






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