救世主。
びりびりと右京の周りに電気が集まる。
掌から放たれた電気は相手に届かず、隙を突かれ鳩尾に拳が入った。
やはりだめだったみたいだ。
続いて手を挙げたのは、いきなり出てきた転入生だった。
「あたしならきっと倒せる!」
「何処から自信が湧くんだ?」
「さぁ?」
会長とマスターが不思議そうに会話してる途中、突っ込んでいく転入生。
…待てよ。転入生の属性は光。
恐らく生徒は闇に染まっている。
『…!!だめだ!行っちゃだめ!』
「零?」
『っ、マスター!闇に光は逆効果!それどころか、更に悪化させてしまう!!』
光が在ってこその闇。
闇が在ってこその光。
お互いが無くては存在できない。
なのにお互いを憎む。
決して交わる…、いや、和解など出来ない。
さっきまで無表情だった生徒が早速光に反応した。
だめだ…!間に合わないっ。
自分より相手の方が早かった。
転入生の首を両手で掴み、今にも絞め殺しそうな勢いだ。
仕方なしに生徒を攻撃しようとした時、転入生が消えた。
……いや吹っ飛ばされた。
「あはっ!ヒーロー登場!!
ナニナニ、ずーいぶん愉しそうだねェー!」
「何でアイツが…、」
「あぁ、そういえば今日から復学だっけ?めんどくさー。」
吹っ飛ばされた転入生は気を失ってしまったらしい。
ぴくりとも動かなかった。…哀れ。
そして吹っ飛ばしたヤツはゆっくりと此方に近づいてくる。
「レーイー、オレってば仲間外れ?」
『そんなことは、ないと思いますが。』
「ま、いーけど。」
足をマスター達がいる方に向ける彼の名は、百鬼 憐(なきりれん)。
学園で唯一の闇属性。
そして、数少ない私の味方の1人。
「すーいくーん、久しぶりだねェ?元気してたァ?」
「チッ、うぜぇ。」
「つれなァーい。」
折角助けてあげようと思ったんだけど。と口を尖らせるレンくん。
だけど直ぐにやりという悪どい笑みに変わった。
「君らじゃアレに勝てない。
闇には闇でないとー、ね?レイ。」
振り向き此方に話を振る憐くんに少し頭を下げて御尤もです。と口を開く。
驚く会長と月、眉間に皺を寄せるマスター。
マスターより付き合いが長い憐くんに私は逆らえない。
というか敵わない…。
「いーこだねェ、レイ。」
「…なんでそいつに着くんだよ。」
『着いた訳じゃない。正論だよ会長。』
「大体なんでそいつと知り合いな訳?」
苛々するマスター。
話さなきゃいけないのか過去のこと。
此処には月も日向も会長もいる。
レンくんを斜め下から見上げると鼻で笑われた。なんで?
「俺は別にかまわねェけどー?キョウくんとサクはわかんないぜェ?」
『…わかってます。』
瞼を閉じて話始める私の髪をレンくんが優しく梳いた。
(懐かしい)
(あの頃と同じ)
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