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風紀副委員長。
【side:沫 月】



れーちゃん大丈夫かなぁ、と考えながら隣の奴を見て溜め息。

なんで、何でこいつとペアを組まなきゃならないんだ。



「ねぇねぇ月!此方で合ってるっ?」

「煩い黙れ。大体お前後輩でしょ。敬語を使え、敬語を。」

「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしなーい!」



あぁっ、もうイライラする!
もっとマシな奴と組めばよかったぁー!!

大体、何で僕より(1センチぐらい)身長でかいの!


藤野を無視して1人ずんずん進んで行くと腕を掴まれた。



「月、そっちじゃないよっ?」

「…触らないでくれる?胸糞悪い。」

「なっ…、酷い!」



ムカつくムカつくムカつく。


眉間に皺を寄せながら道に沿って歩いて行くと前方に人影。

躊躇せず近づくと関わりたくないNo.1の人物が其処にいた。



「最終ポイントへようこそ!
きゃあっ!月くんっ、久しぶり!!」

「…リタイアします。」

「ざんねーん!最終ポイントでのリタイアは受け付けてないでーす!」


楽しそうに笑う彼女は風紀副委員長の月詠 芽衣(つきよみめい)。

長い黒髪は耳より上でふたつ結び。
瞳の色は朱色。

彼女は人間だがある病とも呼べるものを持っている。



「前に会ったのは丁度1週間前の午後1時18分だったよね!」

「覚えてる訳ないでしょ。」



超記憶症候群。
人生の細かいこと、すべての出来事を正確に記憶して死ぬまで忘れることが出来ないらしい。


出会ったのは高校に上がる時。
ギャップが激しい子だなぁと思ったことを覚えてる。



「月の友達?あたし藤野葵!よろしくっ。」

「…月くん、てんにゅうせーとペアなの?」

「仕方なくね。」

「嫌?」

「嬉しそうに見える?」



ぎろりと睨めば苦笑いする月詠。
この場に居たくなくって、藤野達に背を向ける。


じゃあ、と月詠が言葉を繋ぐ。



「潰していい?」

「…勝手にすれば。」



歓迎会なんて、どうだっていい。

ゆっくり足を進めると楽しそうな、でも悲しそうな月詠の声が聞こえた。


この際、馬鹿でかい声で批判してる藤野は無視で。



「零様のとこ?」

「当たり前。」

「…そう。じゃあ、その内零様も潰しちゃおっかなー。」



最後の言葉には答えなかった。

だって、月詠がそんなことする筈ないし、第一れーちゃんに勝てる訳がない。

ゼロ=クラウン。
戦争が起こっていた頃、敵う者はいないと謳われていた人。


僕はその人に3回も助けられた。

まぁ、その事は追々話すとして…。


戦争が終わると同時に魔族は人間へ誠意を表して名を棄てた。

ゼロ=クラウンも当然ながら名を棄てて現在の名は……、蓬来零。

この事実を知っている者は学園内で、僕を含め3人程だろう。

調べるのに苦労した。
だけど、僕はれーちゃんの過去、全てを知っている。

それだけで、幸せなんだよ。










(狂ってる?)
(知ってるよそんなの。)




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あきゅろす。
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