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苦戦…?


「次のポイント先は、1つ階段を降りて4階をずーっと真っ直ぐ行ったとこだ。」

『なにそれ。もうちょっと詳しく、』

「零サマ、これはあくまで迷路だ。迷わなきゃつまらねーだろ?」



楽しそうに微笑む拓海を軽く睨み付け屋上を後にした。

言われた通り1つ階を降りて廊下を真っ直ぐ進む。
誰もいる気配がない廊下はしん、と静まり返っている。



「れ、零様…、なんかおかしくないですか?」

『確かに。静かすぎますね。』



それにいつまで真っ直ぐ進めばいいんだ。
こんなに長くはなかった筈ななのに。

先が見えない廊下を歩いてると前から人…、いや違う、魔力の気配。



『…音先輩。』

「来ますね、5…いや8!」

『気を付けてください、音先輩。』



多分当たっていればこの魔力は……、よく知っている。
毎日稽古していた、マスターのもの。

とすればあれは水の分身か。



「第2ポイントへようこそ。蓬来零…と、音葉虎燈先輩。」

『ま……、会計。』

「香蓬院翠様…。」


水の分身に囲まれて目の前に現れたのは案の定、マスターだった。

まだ、怒っているのだろうか。



「此処では俺の分身達と戦ってもらうよ。
制限時間は5分。オーバーしたらスタートに戻るから気を付けてね。」



始め、その合図で一斉に分身達が動き出す。
それと同時に私達も地を蹴るが、人間の音先輩の攻撃は分身達に効かない。

ならばどうすればいいか、答えは1つ。



『音先輩っ、音葉流は隠し道具も使うと聞きました!』

「どこで、それをっ。
っ、今はそれどころじゃないですよね…っ。確かに、そうです!」

『ならば、私が攻撃した後の分身に攻撃してください…っ。』



一旦、分身達から離れて音先輩と背中合わせになる。
音先輩が頷いたのを合図に再び地を蹴った。

先ず3体と直面し、腕を伸ばし分身に手のひらを向ける。



『氷結…、従え、冷気の鎖よ。』

「はっ!」



固まった水の分身達を音先輩が壊していく。
これでもう動くことはない筈。

数分もすれば足元に散らばる氷。


やっと終わった…。



「は、はぁ…っ、やっと、終わりました…っ、ね…。」

『音先輩、平気ですか?』

「はふっ、だ、じょうぶ…です。」



大分疲れきって座り込む音先輩に手を差しのべようとした丁度その時、ぱんぱん!と手を叩く音が聞こえた。

手を叩いた張本人はにこやかに微笑んでいた。











(はいはい、(触るんじゃねーよ)合格だよ。)
(あれ?香蓬院さま…?)
(…心の声が聞こえた。)






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あきゅろす。
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