月の大作戦。
【side:沫 月】
昼休みにふらふら教室を出ていってしまったれーちゃんを見てむふふと笑む。
傍から見れば不審者に思われるかもしれない。
でもいーの。だってれーちゃんに友達が出来るのは嬉しい。
(兎姫が笑ってる!)
(いいことあったんだよきっと!)
((かわい〜!!))
「あっ、ことせんぱーい!!」
「は、はぁ…っ。月、ぼ、僕……」
がしりと肩を掴まれ俯くこと先輩。
それを見て眉を寄せる。
最近は前より人を受け入れていると思っていたけど、やっぱりだめだった?
「零様、と…」
「こと先輩、れーちゃんは冷たい訳じゃないんです。きっとこと先輩のことを考えて…、」
「違うんだよ、月。」
俯いていたかと思えば顔を上げて微笑むこと先輩に首を傾げる。
「ペアに、なれたんだ。零様と…。」
「っ、よかったですね!こと先輩っっ!!」
月のお陰だよ。と照れたように笑うこと先輩は幼く見えてとても先輩とは思えない。
なんて言ってしまったら拗ねてしまうこと先輩を想像したら無意識に笑っていたみたいだ。
「月?僕変なこと言っちゃった?」
「ち、違う、んですよ。ちょっとした思いだし笑いです。」
「そう?じゃあそろそろ教室戻るね。」
ばいばーいと手を振り去っていくこと先輩に同じく手を振り替えしてお見送り。
一息吐いたところで教室の扉が開いた。
「あ、れーちゃんっ。おっかえり〜。」
『うん、ただいま。』
いつもと変わらない、いや寧ろ疲れてる?れーちゃん。
なにかあったのだろうか。
よし、ここは思いきって聞いてみよう。
「れーちゃん?なんかあった?」
窓の外をぼーっと見るれーちゃんに話し掛けるとちらりと目線だけを此方に向けた。
れーちゃんの視界に入ったことが嬉しくて、ついつい口許が緩んでしまう。
『……きもい。』
「なっ!?れ、れーちゃんひどぉい!!」
『あー、はいはい。』
「もうっ、適当なんだからっ。」
『…………。』
「…れーちゃん?」
どうしたのだろう。
憂いを帯びる姿は確かに儚げで綺麗だけど、だけど……、
「僕は、僕はね、れーちゃん。」
『……。』
「れーちゃんが苦しいのなら助けてあげたいし、悲しいのなら傍にいたい。
僕は人間だし、非力だけど…、いつだってれーちゃんの味方だからね?」
『わかってるよ、月。……ありがと。』
何時もと違い頬を赤らめ、そっぽを向きながらお礼を言うれーちゃん。
本気で照れてるんだろうなぁ。
そうさせたのは紛れもない僕であって。
嬉しくて堪らない。
(れーちゃんっ!むふふ。)
(月、きもい。)
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