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風紀委員長。
【side:萩元 日向】


雅と一緒に廊下を歩いてると誰かの話し声が聞こえる。
普段なら別に気にしないんだけど、この声は……大切な大切なあの子。

壊れてしまうんじゃないかってぐらい儚くて。
でも意思がしっかりしている強い子。


助けてくれたのが彼女だった。
"今"があるのはあの子のお陰。

だから私は……、



「雅、」

「あぁ、零の気配だ。」

「零さま、助ける…。」



こくりと相槌を横目で確認してからゆっくりと歩みを進める。

零さまファンクラブ隊長としては見過ごせない。



「零っ!友達を見捨てるなんて…っ、」

『……あぁ、そう。』



大好きな声が段々近づく。
雅ががらりとドアを開けると2人の目がこちらに向く。

零さまの綺麗な碧眼と目が合うとにこりと微笑まれた。
………可愛い。



「此処で何をしている。」

「関係ないでしょっ!」

「関係あるかないかは俺が決める。第一、口答えしてんじゃねぇよ。」

「何様な訳!?人間のくせに!!!」

「お前、俺のこと知らねぇの?」

「「………。」」



しーんと静まり返る空間。

痺れを切らしたのか飽きたのか、机に座って外を眺めていた零さまがふわりと降りて口を開く。



『3年S組、一ノ瀬雅臣。人間にしてその優れた頭脳、成績、武術で前風紀委員長に推薦され現風紀委員長。
身長183.2センチ、体重59.6。部活動は、』

「れ、零!何で体重やら身長まで知ってんだ!!」

『何かの役に立つからマスターが覚えておけって。』

「…翠の野郎……っ。」



流石、零さま。
身長や体重まではパートナーの私でさえ知らなかった。(大体しか)

今度こっそり教えてもらおう。


一方転入生はぽかんとしていた、が直ぐに調子を取り戻してしまった。



「風紀だからって…っ、」

「校内の窓ガラスを3枚も割り、謝罪もせず逃走。態とじゃないにしろ正真正銘、器物破損だ。
更に言い寄ってくる奴らを自らの魔術で蹴散らした。相手は手を出していない。
よって一方的な暴力。

他にもまだまだあるが………、」

「ゔ…、あ、あたしのせいじゃないもん!!」



にやりと口角を上げる雅に真実を言われ戸惑う転入生は、食堂の時の様に目眩ましをして逃げた。

これでもどっか行かなかったらどうしようかと思ったけど、なんとかなった。

『雅臣、日向…助かったよ、ありがとう。』

「零さま、守る。」

「ヒナもこう言ってるし、気にすんな。」

『それより日向、あれには気を付けて。
人の話を聞かないからね。もし日向の症状が悪化でもしたら…、』

「俺がいる。あいつには近づけさせない。」



魔族の自分が人間に守ってもらうのは可笑しいと笑う人もいるだろう。

でもそれでいい。
自分達のペースでいいと思ってるから。









(大切なあの子)
(傷つくのは見たくない)





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