ペア。
どうしよう。
昨日会長にあんな姿を見せてしまった。
嬉しそうにしてたのがムカつく。
会いたくない。
クラス違うから会わないけどなるべく避けるようにしなきゃ。
「どーしたのー?れーちゃん元気ないよ?」
『月…、別に。』
「そう?あっ、れーちゃん!明日歓迎会だねぇ。」
『あーうん。……って、ほんと?』
歓迎会なんて聞いてない。
第一何をするつもりなんだ。
月はにこにこしながら口を開く。
「れーちゃん寝てたもんねぇ。今年はペアを組んで学園巨大迷路らしいよ〜。」
人間と魔族がペアを組み(パートナー、同じクラスの人と組むのは禁止)、学園全体を使った巨大迷路をいち早くゴールする。というものらしい。
生徒会、風紀委員会がゴールしないように妨げをし、その障害を乗り越えてゴールしたペアには褒美があるんだとか。
………面倒。
「因みに全員参加だからねっ。」
語尾に星マークが付きそうなぐらい楽しそうに話す月。
何がそんなに楽しいのか……、
『月は、ペア決まったの?』
「うん!!」
『そっか。』
明日歓迎会と聞かされ、ペアを組んでいる筈がない。
同じクラスは駄目となれば月とは無理だし……、というか明日と迫っているのに組んでない人はいないと思う。
雅臣は風紀だから無理だし…、うーん。
昼休み、誰もいない空き部屋でぼーっとしてると聞き覚えがない声が掛かった。
「あ、あああの!!零さまっ!!」
『ん?君は…、』
「3年A組、音葉虎燈(オトハコトウ)といいます!!」
『3年…先輩?』
「そんなの気になさらずにっ!そ、それより零さまっ、歓迎会のペアが未だいないという噂を小耳に挟んだのですが…っ、」
もじもじとする小柄な少年…、いや先輩と呼ぶべきか。
女の子みたい。なんだか月と似ている。
まぁ、月に初めて会った時はもっとツンケンしてたけどね。
『音先輩がなってくれます?』
「は、はい!喜んで!!で、でではー!!!」
だだだーっと勢い良く出ていってしまった。
…どうせならもっと話したかったけど、しょうがないのか。
音先輩が出ていったのを見計らったように扉が開いた。
「すいませーんっ、誰かいます……ってこないだの!」
『………出ていけ。』
開けたのは先日会った非常識な転入生。
人を指差すなって教わらなかった訳?
ったく、親の顔が見てみたい。
「えっと…零だっけ?」
『何処でそれを聞いた。』
「皆が噂してた!」
嬉しそうに言う転入生に嫌気が注す。
それより、噂してた奴……潰す。
態々この面倒な奴に名前なんか教えやがって……。
まぁ知られたものはしょうがない。
無視をするように窓の外を眺める。
「ねぇ!迷ったから道案内してほしいんだけど!!」
『他をあたって。』
「いいじゃない!暇そうだし!」
暇じゃない暇じゃない暇じゃない。
もうほっといてよ。
(狂い始めた針)
(元には戻らない)
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