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意識。


マスターが首輪に手を翳すと淡い水色の光が手の周りを包む。

何故在学中は契約をしてはならないのか。
簡単に言えば力を大量に消耗してしまうから。

まだ余り力がなくコントロールも儘ならない頃に契約をしてしまえば、間違いなく死ぬ。



「我、香蓬院翠。水の力を宿す。」

『我、蓬来零。凡ての力を宿す。』

『「魂の契約を此処に誓う。」』

「水の精霊、契約者に刻印を、」

『無の精霊、契約者に烙印を、』



マスターの手は私の首に。
私の手はマスターの右腕に。

各々手を翳す。



『「魂の繋縛を此処に刻め。」』



じりじりと喉が焼けるように痛い。
息が上手く出来ずひゅーひゅー音がする。

マスターは腕を抑えて悶えている。
魔術を使おうと手を翳すがマスターに止められる。



「今使ったら…っ、死ぬぞ、零!」

『だ、けど……ます、たーが…っ、』

「精霊に愛されし者よ、苦しいか。」



ふわりと目の前に現れた人、いや先程呼び出した無の精霊と言った方が正しいか。

精霊が人の前に姿を現すという話は聞いたことがない。


何故、今ここに……、



「契約は未だ終わっていない。私等が術を掛けなければ契約できない。」

『なら、早く……』

「よいのか。彼は気を失っている。」



あまりの激痛につい先程、気を失ってしまったマスター。

気を失った人に術を掛けるのは出来ないのだろうか。
意識が朦朧とする中、精霊の顔を見上げる。



「望んだのは彼だろう。」

『だから、こそ…っ、だ。…早く……っ!』

「……わかった。だが其では辛いであろう。…おい、音の。」



そう精霊が呼び掛けるともう1の精霊がふわりと現れた。

…不機嫌そうな顔で。



「何故私が貴方ごときに指図されなくてはいけないのです?」

「そんなことはいいから早く零の痛みを取ってやってはくれぬか。」

「……なんかムカつきますね。まぁ、零の為なら。」



口を開く精霊。
部屋中に眠くなりそうな、落ち着くメロディーが流れる。

同時に痛みが和らいでいく。



「では最後の術を掛けよう。
…汝、魂の繋縛を刻む者。我、無の精霊の力で繋ぐ。
虚無…、始まれ、歯車よ止まることなく。」



意識が…途切れる。

最後に聞こえた2つの声にとても安心してしまった。



――愛している

――何時も見守っています








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あきゅろす。
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