出会い。
大体いつもそうだ。
無理矢理連行されたし無理矢理学校に通う羽目になった。
嫌がってないけど了承などした覚えがない。
出会いなんか最悪だった。
「気持ち悪いのよ!」
ぱしんっ。
勢い良く頬を平手打ちされる。実の母親に。
母は人間。父は魔族。
光属性の父はいつも暖かかった。
だけどどちらにも似てない私。
碧眼の魔族は厄を呼ぶと言われていた。
更に母のせいかは分からないがいつも無表情。
気味悪がられるのは当たり前なのだろう。
「産まなきゃよかった…っ!」
それが口癖だった。
5歳の頃、遂に母は壊れ、父が居ない時に私を売った。
人間と魔簇による戦争が起こったからか、戦闘用奴隷となった私は多々主人が変わり毎日のように人間や魔族を殺した。
罪有る者、幸せに生きてきた者……全て壊した。
"苦"ではなかった。
「次の仕事がある時間までこの辺で待て。逃げはしねぇと思うが、」
万が一の為にと鎖を大木と繋がれる。
何でも鎖は力を封じるものだとか。
草花が広がる木の下で寝転がると空はどんよりしていた。
『降りそう…。』
「なにが?」
『っ!!!?』
ひょこりと目の前に現れた顔に吃驚して勢い良く起き上がる。
起き上がったせいで額同士がぶつかったのは仕方ないとして、誰この子。
身なりは綺麗……、ということは奴隷ではないか。
「いたたた………。」
『だれ。』
「うん?俺?」
『他に誰がいるの。』
だよねぇ。なんて言いながら笑う目の前の(多分)男の子。
中性的な顔立ちと肩まであるブロンドの髪は女の子にも見えるが一人称が俺だった為男だと思う。
「君、魔族だよね。」
『…そういうあんたこそ…魔族。』
「碧眼の魔族なんて初めて見たよ。ど?俺に着いて来る気は?」
『……ない。主なら既にいる。』
くすくすと笑う姿は本当に綺麗だと思う。
この人も魔族なら分かっている筈。
碧眼の魔族は厄を呼ぶということ、化物と呼ばれていること。
「今の主?そんなの関係ないよ。」
『何故?』
「いーから。俺に着いて来て。」
鎖を難なく壊して首輪も外され、腕を引っ張られる。
反抗するのも面倒だから為すがまま着いていくと1台の長い車に乗せられる。
誘拐だー、と頭の片隅で思ったが、今の主は自分のモノを取られるのが相当嫌いな人なのできっと取り返しに来るだろう。
それまで待てばいい。
やがて戦争は終わりを告げ、魔族は証として人間の名を名乗ることに。
人間は証として1つの巨大な学園を建てた。
私は、奴隷だった頃の名を捨てたのだ。
「今日から学校に行ってもらうから。」
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