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幼馴染み。



くるりと振り返るとドアから顔を覗かせる1人の女の子。



「零、さま…、そいつ、邪魔?」

『…日向(ヒナタ)、余計なことしちゃ駄目だよ。』

「零さまの、為…なら。」



萩元 日向(ハギモト ヒナタ)。
銀色の艶やかな長い髪に空色の瞳。
属性は貴重種族の音。
話すのが余り得意ではないので、結構誤解なども多い。
因みにマスターと会長と日向は幼馴染み。


『私の為に力の無駄遣いは駄目だって、いつも言ってるでしょう。』

「でも、零さま…さっき、嫌い…。」

『日向…、ありがとう。』



微笑んでお礼を言えば勢い良く首を横に振る日向。

私がマスターとパートナーだからか、何時も良くしてくれる。



「日向、お前体調は平気なのか。」

「雅(マサ)、いる。平気。」

「そうか。ならよか「あの!!」…んだよ、まだいたのか。」



会長の言葉を遮った転入生。
そういえば道がわからないとか何とかって言ってたっけ。

目線をそちらに移すと泣きそうな顔が目に入った。



「鴻、媛乃って人の部屋に行きたいんだけど…、」

「媛乃、だと…?お前、あいつに何の用だ。」

「あ、いや…その人に用じゃなくて、呼ばれて……。」



はっきり言わない転入生に会長はイライラしてるよう。

媛乃の部屋となると私の部屋。
しかしさっき媛乃は部屋にいなかった。(友達のとこ行くとかで)

現在部屋にいるのは只1人。



「帰れ。」

「え……、」

「香蓬院翠、いや俺達に関わるな。」



呆然とした転入生に呼び止められる前に今度こそ、その場から立ち去る。

日向にひらりと手を振ると嬉しそうな顔で手を振り返してくれる。


今度お菓子でも作って持って行ってあげよう。媛乃が。
だって私お菓子作れないし。



あー、話が逸れた。
会長は相当苛ついているのか私の手首をかなりの力で引っ張る。

地味に痛いんだけど…。



『接触しちゃったものはしょうがないでしょう?』

「あ?」

『苛つくのは一行に構わないけど、八つ当たりしないでくれる?』



はっとしたように手首が離される。
見ればそこはうっすら痣ができてしまっている。

悪かったと頭を下げる会長に溜め息を吐き口を開く。








(責任を取るから俺の嫁になれ)
(いや別に直ぐ直るからいーけど)(…)







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